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アメリカの軍需産業を宇宙産業に

2003年05月27日(火)
ブルッキングス研究所客員研究員 中野 有

 アメリカの新保守主義(ネオコン)の構想がブッシュ政権に大きな影響を与えているとの考えも正しいかもしれないし、また、アメリカは柔軟な発想を受け入れる土壌があるとの見方も正しいのではないだろうか。

 アメリカという国を考えるに、最近感じたことを記してみたい。
  1. イラク戦直後にワシントンでバスケットの試合を観戦した時、マイケルジョルダン等に熱狂するアメリカ人を見て、戦争の空気を微塵にも感じられなかった。戦争を仕掛けている国でありながら、ひょうきんなアメリカの個人主義を垣間見た。友人は、戦争の息抜きだと表現していた。
  2. 世界最大のコンサルタント企業である、ベクテルが開催するイラク復興の説明会に集まる2000人の参加者を見て、アメリカには破壊から創造まで、幅広い活動を行うバイタリティーがみなぎっていると感じた。
  3. ブルッキングス研究所というリベラルな研究所の中でも、非常なリベラルな北東アジア構想を発信しているが、保守的な大学やマスコミが私の構想に興味を示してくれた。 http://www.atimes.com/atimes/Korea/EE22Dg01.html VOAというアメリカの国営のラジオ局で2回インタビューを受け、さらに中国向け1時間ライブの解説を行った。何を話すかわからない研究員に北朝鮮の情勢分析を打ち合わせもなしで許可をするアメリカの柔軟な姿勢に驚いた。
 平たく言えば、アメリカは、ほどよい柔軟性と実利的な側面を兼ね備えた懐の深い国であると思う。ネオコンの思想や一国主義、そして9.11のトラウマが、アメリカを孤立化させているのが現実であろうが、これは一時的現象で本質的にアメリカは、バランスのとれた国である。

 アメリカの自由を謳歌し生涯を終えたアインシュタインは、世界のあるべき姿を方程式のように的確な普遍性の有る言葉を発している。この言葉こそブッシュ政権が学ぶべきである。

 Prevent war through cooperation among nations, Treat everyone equally.

 アインシュタインは、国際協調と人間を普遍的なものとして尊重している。

 また、国連の重要性を理解するも、その限界を指摘し、「World Government」すなわち、国家を超越した市民が主役となる「世界連邦構想」を提唱した。萬晩報の主筆、伴さんが語る賀川豊彦は、アインシュタインとこの構想を推進した。

 しかし、現在のアメリカのイラク戦に見られた一国主義、先制攻撃、イラク国民のみならず世界の市民を無視した行動は、アインシュタインの理想と対極的である。

 アメリカの素晴らしさは自由と民主主義、そして多くの人種で構成され世界からアメリカに憧れて集まる「世界連邦」に近いところにある。このアメリカが、冷戦に勝利し、世界の警察官の役割を演じるに相応しかったアメリカが、国際テロのトラウマの影響からか、世界の声を無視してもアメリカはアメリカで守るとの行動が目立っている。この近視眼的な一国主義の行動が、世界の不安定要因を高めている。

 アメリカ一国の軍事費は、世界の2位から14位までの合計額より突出しているといわれている。軍事費を上げると戦争の可能性が増すとアインシュタインが指摘している。アメリカは、国際テロ撲滅やならず者国家への対応のため、ミサイル防衛を含む莫大な軍事費が不可欠と考えている。背景には、アメリカの基幹産業である軍事産業との絡みもあろう。

 軍需産業の推進は世界平和に反する。宇宙の開発は、技術革新という意味で平和につながる。イラク戦の教訓からアメリカは、国際テロ撲滅のためには、戦争より国際協調が重要であることを学ぶべきである。アメリカは、経済発展のためには軍需産業が必要と考えるのなら軍需産業から宇宙開発への転換を国際協調の下で取り組むべきであろう。

 リベラルな構想を保守的な新聞やシンクタンクが興味を示してくれるアメリカは、柔軟性に富んだ国である。アインシュタインは、「宇宙の目的」を最後まで追い続けた。アメリカの軍事費を削減するには、宇宙産業の推進がキーとなるのではないだろうか。

 中野さんにメール mailto:TNAKANO@BROOKINGS.EDU


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