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イラクは堂々と敗北を宣言し、戦争の非を問うべきだ

2003年04月11日(金)
萬晩報主宰 伴 武澄

 アメリカの対イラク戦争による、あっけないバグダッド陥落に無力感が漂う。圧倒的軍事力の差があり、しかも制空権を100%牛耳られる中でイラクが攻め入る米英軍を撃破する可能性など最初からなかったのだが、最後には市街戦に持ち込んでイラク側が米英に一矢を報いつのではないかという期待がなかったいえばうそになる。

 アラブ社会で最大の軍事力を保持し、曲がりなりにも「アラブの大義」を主張していたイラクである。フセインに対する好き嫌いは別として、イラクにもう少しは民族の矜持があるものだと考えていた。戦わずして逃げ惑うフセイン体制の最後は残念ながら醜悪である。

 フセイン体制は国際社会に認められた主権国家だった。仕掛けられた戦争とはいえ、戦う決意を示したのだから、堂々と戦い堂々と敗れたらいい。そして敗北宣言をした後でこの戦争でどちら側に非があったのか国際社会に訴えたらいいのだ。

 フセイン側にもはや勝ち目はない。米英軍にこれ以上イラクを破壊させないためにフセイン体制は敗北を宣言すべきだ。国家のリーダーにはその資格があり、その義務がある。

 バグダッドの陥落によって、アラブをめぐる地政学はほぼ80年前のオスマントルコ崩壊に戻ると考えていいのではないだろうか。アメリカにとってもはや大量破壊兵器の破壊やフセイン体制は過去の問題でしかない。

 ネオコンの狙い通り、イラクに傀儡政権を打ち立て、アラブ社会にアメリカの覇権を確立することが可能となった。同時に石油輸出国機構(OPEC)によるカルテルである生産調整体制も風前のともし火となった。20世紀に沸き起こったアジア・アフリカの民族自決の理念は遠くなりつつある。

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