LOCAL GOVERNMENTSを地方自治体と書き換えた日本1998年10月17日(土)萬晩報主宰 伴 武澄
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9月27日付萬晩報「ヨーロッパで常識化した地方分権の新しい力学」のコラム対してフランス在住の読者からメールがあった。イギリスで起きている地方分権の動きを「ヨーロッパの」と一般化した論法が稚拙であるとのご指摘があり、最近のフランスで地方分権の動きや地方自治体の語源について解説して下さった。
●中央集権のフランスでも対等となった国と地方
我が国の地方制度は明治初年に、大陸諸国(主として中央集権国たるフランス)における当時の制度を下敷きにして設計され、それに戦後、アメリカの制度を継ぎ足したものである。こうした歴史的経緯を踏まえず、突如として「英語」で言うところの「地方政府」と「地方自治体」を比較されようとする立場には無理がある。ドイツは元々連邦国家。州ごとに首相がいる。イギリスでもフランスでも地方への権限委譲がどんどん進んでいるということならば、地方分権はヨーロッパどころか世界的趨勢と呼んでいいのかもしれない。古代メソポタミア文明と黄河文明が同時期に繁栄し、日本の武士がヨーロッパの騎士団と同じころに登場したように東西の歴史は不思議な連関性を持っている。そうなのだとしたら、日本に地方分権の波が押し寄せるのは当然視されていい。
●日本人の思考回路に織り込まれたお上意識
この名称は、現行憲法の制定にさかのぼるものと思われる。地方自治制度に一章割かれているのを思い出してもらいたい。当然のことながら、日本側が作成した用語であり、原文=英語では「local autonomous entities」などといった"不思議な用語"が用いられていないはずだ。お確かめのほどを。この辺りのことは、様々な文献を漁って調べるしかないが、「地方自治体」という名称は、戦後の日本人の思考回路に「中央政府」こそが「地方行政体」を指導すべき上位の立場にあるものとの認識を自然のうちに織り込ませることに役立ったとしかいいようがない。 【憲法8章 地方自治】 第92条 地方自治の基本原則 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 第93条 地方公共団体の機関、その直接選挙 (1)地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 (2)地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選ぶ。 第95条 地方公共団体の権能 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 第96条 特別法の住民投票 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければならない。 |
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