目一杯働き、目一杯休息するアメリカ1998年05月25日(月)八木 博 | |
八木さんへ |
米国の機械を見ていると、目一杯のパワーで動いているというのを感じるときがあります。たとえば、飛行機の離着陸のときや、ハイウェイのトラックや芝刈り機のエンジン音などいつもフル回転の音が聞こえる気がします。そして、実際物流や、技術の流れもそれと同じように、フル回転ではないかと思ってきました。もしかすると、人間の活動もそうかもしれません。今回は、目一杯社会の実態を検証してみたいと思います。
●子供のころの褒め方と叱り方 ですから、子供は行動を指示されるわけではなく、自分の行動の結果を考える癖をつけられる事になります。そして、もう少し大きくなって自分で考えを発表する事が始まると、先生は一人一人の意見を尊重します。そして、いい点を見つけては、必ず褒めます。 いい点が見つからなくても、努力や発表態度などを褒めます。私はここに、目一杯の社会の原点があるような気がします。いいところを見つけ出してくれるから、次々に頑張る、そうするとある分野でのトップへとつながる道に続いて行く事になるからではないかと思うからです。 褒めた後も、次々に成長できる社会米国の社会が、地域に根ざした活動をベースに成立しているのは人々の意識としてとても明確です。ほとんどの州では野球もフットボールも、バスケットボールも地元チームのファンでスタジアムは埋められます。また、新聞と言ってもローカル紙が中心で、その中で個性を持った新聞が全国的にも高い評価を受けます。 シリコンバレーではサンノゼマーキュリー新聞が、ハイテク関係の記事ではとてもタイムリーな報道をしています。これは、地元の情報を集める事で、早く質のいいNewsをまとめられるためです。 InternetでのNews配信もいち早く実施しましたし、ビジネスの展開とハイテクは、密接につながりながら発展しているのです。これが現在のところ、米国の高株価を呼び起こしていますし、米国はこの分野で、全力疾走をしているように思えます。 話を戻します。もし学校に優秀な生徒がいたら、彼のところには大学や、地区の競技会(教科の学校対抗のようなもの)への誘いが来ます。そして、さらにその上を行くときにも、また誘いが来るのです!ですから、もし小学生で、天才的な能力があると認められれば、その能力を伸ばす機会はどんどん与えられることが起こるのです。 それは、ひたすら地元を見つめる人たちの、ネットワークから発生します。このように社会の仕組みの中に、伸びる才能を伸ばすと言うシステムが、米国社会の根底に組み込まれています。そして、おらが街の自慢は、誰誰さんということにも、つながるのです。
●世界から集めた頭脳 ビジネスだけではありません。スポーツの世界も同じです。そして、芸術も。いいところと言うのは、他の人と違うから見えてくるものだと思います。それを見つけて、伸ばして、個人も社会も成長できるのであれば、理想的なわけです。
●普通の人はどうするか 。 これをこうやって楽しむのは、私のやり方だと言って、人々は、それぞれの趣味の世界に打ち込みます。ですから、他の人と違う事は「あたりまえ」であって、自分は、自分で納得してその世界に入っているのです。しかし、そこでも当然ネットワークが発生しますので、自立した個人の関係が出来るのです。 これは、会社の人間同士ではなく、個と個のつながりになります。このような個性を持った人たちですから、そこでもやはり、目一杯と言う事も起こるわけです。そうすると、普通の人でも一人一人が自分の生き方を貫くところに、目一杯の世界があることになります。
●目一杯だけでは生きられぬ しかし、いずれにしろ、自分でとことん考え、納得しながら行動して行く事が目一杯とは言わずとも必要な事のような気がします。それには、他と違う自分をまず見せる事から始まるように思うのですが、いかがでしょうか。 八木 博氏は大手化学メーカー勤務。シリコンバレーで「週刊シリコンバレー情報」を発信しています。 トップへ 前のレポート 次のレポート |
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