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ワシントンから鳥取を想う

2003年09月23日(火)
ジョージワシントン大学客員研究員 中野 有

 世界を何年もかけて漫遊し、鳥取にたどりつき4年間生活した。今、ワシントンから鳥取の魅力を想いだしている。どの地で生活しても、思い出は常に美しいものだが、鳥取での生活には格別のものがあった。

 毎年、中秋の名月になれば、鳥取砂丘から日本海に臨む、月と砂漠と漁り火のあの幽玄の空間を思い出す。この鳥取しかない自然が織りなすマジックに誘ってくれたのが、「ともしび」というこじんまりした飲み屋さんのママ、故田中すず子さんであった。ママのもてなしがなせる技か、そこにはいつも鳥取の情があり、愉快な会話を求め多くの人々が集まる憩いの空間があった。ママは、人と人をつなぐ天才らしく、多くの素晴らしいユニークな人々と知り合うことができた。鳥取の美味しい地酒と海の幸を肴に話に花が咲き、シンクタンクの研究員として多くの生きた情報を通じ、鳥取の活性化のための構想を考え学ぶことができた。

 鳥取に赴任した者へのママの最高のもてなし考は、中秋の名月の鳥取砂丘にて地酒に酔い浸るというものであった。月と砂漠と漁り火。これぞ鳥取の醍醐味。ともしびのママの発案で、和菓子屋の社長の小谷寛さんの乗りで生まれ、NHK情報ネットワークの加藤和郎さんのプロデュースで実現したのが、鳥取砂丘の漁り火能。日本海の夜の幽玄の砂丘空間を演出した能は、鳥取の魅力である。恐らくこれこそ世界中の文化人が興味を持つ鳥取の空間であろう。

 ともしびで知り合った鳥取県国際交流センターの桝谷謙次郎さんが、ニューヨークへの視察旅行に合わせワシントンまで日帰りで来られた。キャピタルヒルやホワイトハウスを見学しながら、鳥取に想いを馳せた。失礼な言い方かもしれないが、飲み友達と再会するほど楽しいことはない。

 これを機会にワシントンからロングショットで鳥取の魅力を再考してみた。鳥取の魅力は、素朴な田園風景と、木の香りがする武家屋敷風の建物と温泉と海の幸。鳥取で生活した時もそう考えたし、鳥取を去りワシントンから展望しても想いは同じである。ニューヨークには高層ビルがあるが、ワシントンには高い建物がないように、鳥取しかないアクセントを醸し出す必要がある。

 東京のお台場に江戸風の温泉ができ繁盛しているという。鳥取こそ木の香りがする露天風呂があれば、観光の名所にならないはずはない。そういえば、ともしびに行く前に決まってダイエーのスポーツクラブで汗を流した。スポーツクラブで汗をかき、露天風呂につかり、鳥取の地酒に酔いしれながら愉快な会話で、鳥取の魅力をみんなで語る。こんな健康な空間が鳥取にあれば、病院通いも減り健康保険料も減少し、財政に貢献するのではないだろうか。ハワイでは健康のために格安でゴルフができ、結果的に健康保険料を減少させているという。鳥取に全国の注目を集める大規模な、木の香りのする露天風呂と健康のためのスポーツクラブがあれば、鳥取の魅力がさらに開花するのでないだろうか。

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