NTTドコモがサミット参加者にドコモの携帯電話を無料で3000台貸し出すことになっているそうだ。「世界に冠たるiモード」を宣伝するためということだが、外国人がすぐにコギャルのようにキーをたたいてメールができるか不安である。
サミット参加者といえば多くは政府関係者かジャーナリスト。政府系企業であるNTTの子会社のドコモがNGOの人々に端末を貸し出すことは考えられない。iモードが彼らの口コミで世界に広げれば安い投資である。
だが破たんした衛星携帯電話のイリジウム・システムでは初めからプロバイダーサービスを付加してインターネット接続を可能にしていたし、地上の携帯でもニュースや天気予報、株価情報から映画のチケット予約までできる端末がないわけではない。iモードが日本発の世界標準だなどと考えては間違いの元になる。
それよりも多くが海外からやってきたジャーナリストたちが持ち込んだ端末が日本で一切、使えない現実に直面することは確実である。海外との「ローミング」機能ないという日本の携帯事情が世界に報道されるマイナスイメージの方が気掛かりだ。特にヨーロッパやアジアの国々ではGSMという100カ国以上で使える端末が普及しているため「なんで」という疑問を抱くに違いない。
国を越えて端末が使えるということが常識となっている携帯電話の世界で、一番重要な機能を無視して子供だましのような機能ばかりを付加して「将来のグローバルスタンダードだ」などとはしゃいでいる日本の携帯電話事情は理解できないと思う。
●ローミングは携帯端末の貸し出しという非常識
シリコンバレーに住む八木博さんがちょっと前に教えてくれたジョークがある。NTTの用語で「ローミング」というのは「海外の携帯端末を成田空港で貸し出す事業」のことだというのだ。これがジョークならばただ笑い飛ばしていればいい話であるが、真面目なのだからことは深刻だ。
以前に「国際標準」をうたい文句に売り出したIDOグループの「cdma-One」の矛盾について萬晩報で書いたところ、各国に住む読者から多くのメールをいただいた。今月からアメリカとのローミングを開始したということになっているが、当時「日本の空港までしか使えない日本の携帯電話は旅行中にはただの重いプラスチックの箱」といった不満が並んでいた。
世界で働く日本人は100万人がいる。これに海外出張者を含めるとどう考えても150万人という日本人がGSMというヨーロッパ生まれの便利なシステムの恩恵に預かり、日本の携帯電話の不都合さを嘆いているはずなのである。そのなかにはNTTの社員もNECなど通信業界のビジネスマンも少なくないはずだ。
彼我の通信事情の違いを熟知している日本人が数万の単位でいるというのになぜ、日本の通信事情だけが井戸の中の蛙でいられるのか不思議で仕方がない。
【萬晩報】07月08日(土)「徳政令乱発いざなうそごうへの借金棒引き(1)」は(2)(3)の続編を準備していたが、突然の「そごう倒産」で使い物にならなくなった。いずれ別の形で書きたいと考えていますので、しばらく猶予をください
▼とっとり総研の中野さんがカナダのとある都市で石川県のテレビ会社の社長と出会い懇談中、この社長の萬晩報の読者だということを知ってびっくり。だが二度びっくりしたのはその隣にいた日本人の紳士が「よろず」という二人の会話に入ってきて、なんと萬朝報を創設した黒岩涙香の孫だと自己紹介したことだったそうです▼アメリカ政府はクリントン大統領が20日に東京で予定していた日米首脳会議を飛ばして、21日直接、沖縄のサミット会場入りすると発表しました。
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