このことが自民党など与党3党にプラスとなるのかマイナスとなるのかの判断はつかないが、自ら解散を打って出た森喜朗首相の選挙の第一声の写真が1面にないのはやはり寂しいことに違いない。
金大中・韓国大統領と金正日・北朝鮮総書記の歴史的握手の様子は、日ごろニュースの編集にあずかる筆者らにとってもしばしテレビの画面に釘付けにされる瞬間だった。
この日金大中大統領が平壌空港に到着した時のために用意し、残念ながら読まれなかった声明文が各紙に掲載された。ハングルが分からないので各紙の日本語訳を読み比べた。一番、大統領の心情を吐露していた訳は毎日新聞に掲載された「全文」ではなかったかと思う。
尊敬し、敬愛する平壌市民のみなさん。そして北の同胞のみなさん。
お会いできて本当にうれしいです。私は、みなさんに会いたくてここに来ました。夢にも見た北の山河を見たくて、ここに来ました。あまりにも長い歳月でした。その長い歳月を遠回りに遠回りして、やっとのことで来ました。
私の生涯に北の地を踏むことはできないと悲観する気持ちになったことが、一度や二度ではありませんでした。しかし、いま、生涯の願いを果たせました。南北の7000万人すべてが、このような願いを一日も早く果たせることを切実に願っています。
なにより、私と一行を招待して下さった金正日国防委員長(総書記)に心から感謝します。私たちをこのように温かく受け入れてくれたみなさんに、もう一度感謝のあいさつをいたします。そして南の同胞たちの温かいあいさつの気持ちをみなさんにお伝えします。
私は、南側、大韓民国の大統領として、南の同胞の思いに従い、民族の平和と協力と統一の先頭に立とうと平壌へ来ました。
南の同胞が今回、金正日委員長と私の会談にかける期待と同じくらい、北の同胞のみなさんの期待も大きいだろうと思います。いまが、始まりです。夢のようだった南北首脳間の出会いが実現したからには、今からきちんきちんと解決していきます。
私は金正日委員長とともに、南北同胞すべてが平和で幸福に生活できる道を探るために、全力を尽くします。
平壌市民のみなさん、そして北の同胞のみなさん。
半世紀の間、積もった恨(ハン)を一度に解くことはできないでしょう。しかし、始まりさえすれば半分終わったようなものです。今回の私の平壌訪問で、すべての同胞が和解と協力、そして平和統一の希望をともにできることを心から望んでやみません。
できることから一つずつ最善を尽くします。到達できないところは2回目、3回目の会談で重ねて話し合い、必ず解決します。
金正日委員長と私に力強い応援と協力をお願いします。
北の同胞のみなさん。私たちはひとつの民族です。私たちは運命共同体です。私たちはしっかりと手をつなぎましょう。
私はみなさんを敬愛しています。ありがとうございました。