戦後、高知にもバイクメーカーがあったといえば、誰もが驚くだろう。親しくしている鶴亀モーターの社長さんに聞いた話である。山崎内燃機研究所という会社が高知市鴨部にあり、そこでつくっていたブルーバードという名前のバイクを売りまくって現在の自動車修理業の礎を築いたという。

 社長さんによると、この会社は、高知工業高校の教師をしていた山崎圭次が創業したものだった。山崎のすごさは本田宗一郎が創業した時代に、高知でバイクのエンジンを自ら設計し、生産したことだった。

 ブルーバードは四国自動車博物館に現物が展示してある。山崎の実家は能佐山の豪農。金沢工業学校を卒業後、戦争へ行き、復員後、エンジンの開発に着手した。戦後、国内で雨後の筍のようにバイク会社が乱立した。その数300を超えたというから町々にその技術が多く存在していたはずだ。工業高校で学んだ技術がエンジン製造に役立ったという点に着目したい。実業の技術を学んでいたといえよう。今の工業学校は何を教えているのか?

 四国自動車博物館のホームページによると、「山崎氏は内燃機関に関する30数件の特許を所有しており、この片田舎にある小さな工場から生み出されるバイクの性能は、当時の国内バイクの標準レベルを越えていた。昭和20年代の初めにエンジンを全て自社製としたその技術自体も評価されるものであろう。特許庁へ行き、山崎氏の特許の数々を閲覧すれば、それに前後するように『本田宗一郎』(本田技研創始者)や『井深大』(ソニー創始者)らの特許を見つけることができる」というからさらに驚く。

 何でも自分でやってみたいという衝動に駆られる自分としては、今、電動バイクをつくってみたい。10万円内外で実用的な電動バイクなど誰にでもできそうな気がする。手作りバイクが町中を疾走する町を想像してほしい。工業学校に日本の将来を賭けてみたい。

(ネッツトヨタ南国株式会社の岡本さんの指摘で全面書き換えをしました。2023年7月28日)

specification

製造 1953年 山崎内燃機関研究所 (高知市鴨部)

エンジン 4サイクル サイドバルブ

単気筒 90cc

圧縮比 6:1

クラッチ型式 乾式多板

駆動方式 Vベルト