魁け討論 春夏秋冬



選挙雑感   (T)

2000年6月3日
 元中国公使 伴 正一

ご意見
 今日から始める標記の連載コラムは走り書きスタイル、いずれは稿を改めて世に問う積もりのものである。この点、予め読者の了解をお願いしておきたい。

 有権者の関心が投票行動につながらない、という致命的とも思える現象がある。何故だかその原因を探ってみよう。

 今日は制度に関わることを取り上げる。かねがね私が考えてきたこと、白票の取り扱いである。それについての今までの工夫の足りなさである。

 わざわざ投票所まで足を運んで、一票(白票)を投じた人を、投票所へも行かないでゴルフや釣りに行った人と同じに扱っていいのか。同じに扱うしか方法はないのか。

 いわゆる無党派層の中にかなりいるのではないかと憶測するのだが、政治にも無関心なのではない、候補者の品定めもしてみたがどの候補も「でも、しか」の類いでしかない。誰に投票する気にもなれないではないか、という人は少くあるまい。

 これは見逃すことのできない有権者心理で、こんな大切な有権者心理は何としても投票につなげる工夫をしなくてはならない。

 そのまま投票に反映させる方法としては、白票を有効投票に数えて棄権と峻別することが考えられる。

 それだけでも(事前に周知徹底しておけば)有権者の関心は大きく投票行動につながるはずだ。

 ましてや更に一歩踏み込んで、(小選挙区の場合)白票数が有効投票総数の50パーセントを越えたら、白票によって示された「適任者なし」の意思表示を優先させ、「当選者なし」を選挙結果とする手もある。

 そこまで行ったら投票行動につながるどころではない。時には選挙の結果を決める最大要因になり、「でも、しか」その他の望ましからぬ人物を政治からシャット・アウトする決定打になること請け合いだ。

 先々、何回でも選挙のやり直しができるようにでもすれば、「うちの選挙区には適材がいないか、いても立候補を阻む原因があるのかどちらかに違いない。」 という問題意識が、選挙区住民の間に鮮明に浮上してこよう。

 こうなれば主権在民がモノになる展望も開けるというものではないか。

 白票を公表統計上「独立項目」にして棄権と別建てにすることだけなら、今回の選挙からでもできるのではないか。それを予め有権者に周知させておいて、無党派層の動きを中心に投票率の成り行きに注目するのだ。

 大新聞の一つが社説で書き立て、社を挙げての主張にでもすれば、今からでも選挙に間に合うかも知れない。

   序に言っておくが、陰湿になる可能性を孕んだ「落す運動」を制度化などして、最高裁判事審査制まがいの「ペケ投票」を導入したりすることはない。              


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