1985年05月27日
「日本をダメにした百人」という細川隆元の本があったが、その発想に倣って、日本を本当にダメにしそうな、不気味で、根深い問題を挙げようとすると、
ロマン(心の張り)の減退
すさんでいく家庭生活
国への甘えと財政破綻
など、政府の問題というより有権者全部を巻き込んで考えなければならない、いくつかの問題が浮かんでくる。
カネによる政治の汚染
もその一つである。
「金権政治をなくしよう!」などと人は言うが、カネの影響力を政治から排除するということは、佛教国をキリスト教国に変えるくらい難しいことなのだ。
選挙は汚いものとしていて民主主義は守れないのだが、その選挙は、そして民主主義は、もともとカネに弱い体質にできているのだ。
手紙を貰ったら返事を書き、お祝をしてもらったらお返しをするのは世の中の道理感覚だが、この道理感覚の構造で選挙がとらえられている。
有権者の方は票を入れてやると思っているし、候補者の方も票をいれてくれると思っている。当方はお願いするものであり、あとで必ずお礼を言うもの、お返しをするものとなっているのだ。そしてやる方の有権者は、国政選挙だと先ず数万人、貰う方の候補者は一人、つまり一対万だ。
デモクラシーの落とし穴は実はここにある。
お礼やお返しの意味を持ったカネ(無形の利益であることもある)が個々の有権者にまで届き渡ることは比較的少ないが、その一歩手前のところ、票を集めてくれる人々までは滔々(とうとう)と流れるのだ。
カネの流れる水路ができ上がっているというのと同じではないか。カネによる政治の汚染は、ここまで踏み込んで意識革命をして始めて少しずつ排除していけるのではなかろうか。
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