陳情書

一九九一年四月十日　　　　　　　　　　
スバス・チャンドラ・ボース・アカデミー
会長　片倉衷　　
代理　金富與志二
　大戦中、日本軍と共に戦ったインド独立の志士スバス・チャンドラ・ボース氏は、終戦直後台湾で墜死し、その遺骨は東京都杉並和田の蓮光寺に眠って四十五年になります。この間ネール首相、ガンジー首相等来日時は同時に参拝、又実状調査団も数回来日している。が、遺骨送還はなされていません。反ガンジー派のデサイ首相相の時、インド国会内にボース氏の写真を掲げ、日本での死亡と、同氏が戦時中集めた資産のインド国庫収納を確認しているので、今や送還拒否に関する問題はなくなっています。
　お守りする吾々アカデミー・メンバーの年齢的問題もあり、この際、偉大なるボース氏のご遺骨はインドに帰って戴くことが、同氏のご冥福を祈って已まない吾々の熱烈な願いであります。
　何分よろしくお願い中し上げます。
　　　　内閣官房長官　衆議院議員　大島理森殿
　この「陳情書」は、平成二年春の海部首相のインド訪問にあたり、インド当局に対しネタジの遺骨返還を要請していただくためのものである。帰国後、インド外務省を通じ、インド国内においてネタジの死亡を否定する訴訟が行なわれており、その裁判の結果が出たのち、遺骨返還を前向きに検討する旨の返電を得ている。
　事態の好転を願ってやまない。