HAB Research & Brothers


【読者の声】100円で経営が成り立つ長崎の路面電車

1999年08月26日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄



 【長崎の市電はサービスも十分】長崎市に住む浦井と申します。長崎市の路面電車は、長崎電気軌道社の地道な努力により100円という低運賃が維持されています。確かに、全国の廃止路線の路面電車を譲り受けていた時期もありましたが、新造車(低床式)も導入されており、旅客サービスも十分に行った上での100円です。ですが、長崎は道路が非常に混み合い、また職場に駐車場がない会社が多く、結果多くの人が通勤の足として電車・バスを使っており、会社側もそれを推奨しています。これが集客の最大の理由であると思われます。また、電車・バスの一日乗り放題乗車券も550円で販売されており、これは、観光客の方にとても便利だと思います。長崎市内の名所には電車とバスで行くことができます。

 以前、北九州市に住んでいましたが、バスの初乗りが170円と高い上、北九州市では、比較的職場の近所に駐車場を確保することができ、通勤は車を使うことが大半でした。公共交通機関の運賃が安ければそちらを使うのですが。貴方のおっしゃる通り、集客には、運賃の値下げが一番と思う次第です。(Naohiko Urai)


 【勉強会で会員に紹介したい】沖縄で路面電車友の会を組織してワイワイやっている高江洲と申します。来月、長崎へ行く予定がありましたので、非常に楽しくうきうきしながら読んでました。電車については、いろんな観点から考えさせられる事があります。沖縄は交通行政が立ち遅れてまして、戦争のドサクサで鉄道は消滅、1マイルの国際通り(行った事あります?)の交通量はなんと1日二万台、バスが約2千台、タクシーはその約三倍程度・・レンタカーも増加の一途・・。

 ピーク時には渋滞の通りを、数秒置きにバスが黒い排気ガスを吐いて行きます。客待ちタクシーはエンジンを止めず、クーラーを入れた状態で違法駐車で何十台も道を占拠してます。車中心の街になってしまいました。古き良き、正しかった時代・・電車の復興はそれを象徴する感じがします。良いレポート、有難うございました。今度の勉強会で会員へ紹介したいと思います。(仮称)沖縄路面電車友の会 高江洲よしみ


 【市内の公共交通で乗り換えも可能に】こんにちは。いつも興味深く拝読しています。さて。[萬晩報はいったん廃止した路線電車を無理に復活させよといっているのではない。バスでも電車でも、タクシーでも経営の要諦は「価格を下げることにあり」といいたかっただけのことである]とのご意見、まったくもって同感です。さらにバスに対する要望としては、「トランスファー・チケット」を発行して欲しい、ということです。

 以前、カナダに滞在していたとき、市内を縦横無尽に走るバスにも驚きましたが、市内一律料金だったことにも驚きました。どこまで行っても一定料金。乗り換えるときは、「Transfer ticket,please.」これで済むのですからね。素晴らしいシステムだと思いました。

ただ、これは単一のバス会社だからなせるものなのかもしれません。日本(特に都市部)のように、複数のバス会社が運行している地域では難しいかもしれませんね。「バス共通カード」でも紆余曲折があったようですし。

 また、小型バスの運行も注目を浴びていますよね。東急トランセや、東京都武蔵野市のムーバス。ムーバスも確か一律100円の料金システムで、利用者も増加しているようです。料金を下げて利用者が増加、という好循環は、京王電鉄にも当てはまりませんか。井の頭線では確か、一旦値上げしたものの、再度値下げしたような記憶があります。(N.Tanaka)


 【ヨーロッパの市電は動く芸術】興味深い読ませていただきました。子供の時、京都の市電が廃止されたとき、烏丸車庫でその様子を見ていたことが思い出されました。ウイーン等のヨーロッパは、市電を大事にしてますね。市電は、動く町の芸術だと思うのですが(中野 有)
 【長崎が記事になるのはうれしい】8・26の路面電車の記事読みました。夏の時期に原爆関係以外で、長崎のことがのるのは、うれしいです。路面電車の件ですが、予想ですが。安い原因の一つとして、観光面での役割が多いと思います。平和関係の見学地の近くを走り、観光地までの交通機関としても、電車が一番。一日乗車券(一定料金を払えば、その日一日は、何回も乗車自由)制度を作って、観光客、修学旅行生は、それを利用してます。料金については、たぶん、長崎市の観光課の助成があると思います。

 長崎市の者としては、車と路面電車の衝突事故をよく見かけます。あってよいものだけではありませんね。時々電車なかったら、車が走りやすいのにと思うこともしばしばです。(わたなべ きくこ)


 【特筆すべきは地方の私鉄の黒字経営】拝啓、いつも「萬晩報」を配信して頂き有り難うございます。
 今回の長崎県の路面電車の件について、楽しく拝読させて頂きました。基本的には筆者のおっしゃる通りですが、黒字の要因は100円均一であると言う箇所について、若干異議が有りますので筆を取らせて頂きました。なお、若干記憶違いが有るやも知れない事を、予めお断り致します。

 長崎県の場合、長崎電気軌道という民間会社が経営をしています。いまでこそ黒字経営ですが、今から20年(?)程前に会社の経営危機が表面化しました。この当時は電車とバスの兼営でしたが赤字経営が続き、最終的に電車の運行を守るべくバス部門を切り離す大なたを振るいました。そして労使紛争を乗り切り、今の電車専業に落ち着きました。この決断があるからこそ、今の黒字経営が成り立っていると思います。

 もう一つは、警察の協力により、軌道内への車の乗り入れが禁止されている事です。これにより、渋滞に巻き込まれる事は無く、定時運転率が非常に高い事で、乗客が増えていると言えると思います。もちろん軌道内への車の乗り入れは、市民の理解が無ければ絶対に実現不可能です。路面電車の廃止された理由の多くが道路渋滞の解消で有る事を考えると、恐らく電車を守ろうという意識が高かった事が背景に有るはず思います。同じく黒字経営の広島電鉄でも、広島市内の軌道線内は車の乗り入れが禁止されています。因みに大都会で生き残っている路面電車のほとんどは専用軌道或いは、線路に車が乗り入れ出来ない状態にしている所が殆どです。

 従って、料金設定(=企業努力)、定時運転の確保、利用者の意識、これらが連動して初めて利用者が増えるので、単に料金を安くするだけでは駄目では無いかと考えます。

 なお、長崎電気軌道、広島電鉄共に地方の中小私鉄であり、何らかの自治体からの補助が有るにせよ、大都市圏に比べて遙かに不利な条件下で有るにも係わらず黒字経営が続いている事は特筆に値すると言えます。一部の会社の様に、"利用者減→値上げ"を繰り返している企業や公営交通に少しは見習って頂きたいと思います。次回の「萬晩報」を心待ちにしております。(江戸川区・細木 秀一)


 【長崎は自転車の違法駐輪もない】4年前まで仕事で長崎に住んでおりました。長崎では「電車」というと、路面電車のことを指します。ちなみにJRは「汽車」。それだけ市民の生活に根付いているということですが、理由の一つに長崎市では自転車を利用する人がほとんどいないことがあると思います。他都市では、駅前や銀行、スーパーの周辺というと、おびただしい数の自転車が留め置かれ、歩行者が通り抜けるのに一苦労、といった状態が当たり前になっていますが、長崎市内でそういう光景に遭遇することはまずありません。どこへ行っても急な坂道ばかりで、自転車は日常の足になりえないのです。自転車を購入しようとしても、自転車屋を見つけることさえ困難なほどです。こうした地形上の事情と低運賃であることから、電車が日常的に利用され、結果、鉄道会社は黒字経営で100円運賃を維持できると好循環が続いているわけです。つらつらと感想とは言えない、思いつくままのことを書き連ねました。失礼しました。(本村 亜希子)
 【路面電車の弱点は路線変更が難しい点】はじめまして。函館に住んでいるものですが、この街においては、市電の利用が年々減少し、大変な赤字経営となっています。利用者は車を所有していない、老人と子供くらいなものです。

原因は、値上げによる客離れではなく、路線に問題があります。路面電車は人口が減少している旧市街地を走っているため、人口が増加している新市街地に住んでいる多数の住人が利用できないという面があります。人口が多く、交通量が多いところを走れば、値段にあまり左右されずに利用はされるように思います。現在、路面電車が走っている道路は車の交通量も少なく利用が少ないのもあたりまえのような気がします。バスのように需要の多いところに路線を簡単に変更できない点が路面電車の最大の弱点ではないでしょうか。(函館の市民)


 【香川では100円以内でうどんが食べられる】初めまして。京都に住む別府と申します。いつも「萬晩報」を興味深く拝見しております。さて「萬晩報」990825号の中で、ちょっと気になる所が有りましたのでメールを差し上げた次第です。同じようなメールが届いていると思いますが、お許し下さい。

 京都の最初の路線は、1895(明治28)年1月31日、京都電気鉄道株式会社により京都駅前〜伏見京橋間に運転されたのが日本で最初の電車です。これは議論の余地はなかったと思います。北野線はゲージの狭い路線として市電の中で最後まで残った区間ではありますが、最初に出来たものではありません。また、電車を走らせるために発電所を作ったという訳ではなく、当初は余剰電力の消費先として路面電車が計画されたはずです。北野線の最初の区間が開業したのは1895(明治28)年9月の「堀川中立売〜堀川下立売」間でして、北野まで延びたのは1912(明治45)年の5月とだいぶ遅いです。

 それと、長崎電気軌道が健闘しているのには100円の運賃はもちろん大きな要因でしょうが、警察と一体になった軌道敷への自動車進入全面禁止などの施策を取り、市内交通の中で一番定時制が確保されているという点も見逃してはいけないと思います。そのため、電車右折車に走路妨害される、といった光景はほとんど見られません。

 他都市は、自動車の交通量が増えると軌道敷への進入を認め、結果道路渋滞の影響を路面電車も大きく受け、時間が掛かる事から利用者が減り、廃止へと繋がったケースが多いです。自動車進入全面禁止については、広島も徹底的にやっていますよね。話に聞いただけですが、かなり徹底的に取り締まりを行ったそうです。広島、長崎共に公営ではない所が面白いですね。

 ちなみに、これはまったくの余談ですが、香川では100円以内でうどんを食べられう所がたくさんあります。私が食べた中で一番安かったのは70円でした。長くなってしまい申し訳有りません。今後も「萬晩報」が届くのを楽しみしておりますので、無理せず頑張って下さい。(別府護)


 【連日の独創的なアイデアはどこから】前略,はじめまして。小生は、阿蘇で火山を研究している大学院生です。いつも、「萬晩報」を楽しく拝見させていただいております。さて、特に今回のコラムの内容についての感想ではないのですが、このところ連日のように「萬晩報」が届き、しかも内容のレベルが落ちておらず、取り上げている話題やその観点が独創的な点が多いので、感嘆しております。いったい、どうしたらそれだけのアイデアが次々と涌いてくるのかをお尋ねしたいくらいです。ともすると、世の中の事に疎くなりがちな研究生活を送っておりますので、「萬晩報」は良い知的刺激になります.これからもますますご活躍されますことを期待しております。( Makoto Nakaboh)
 【ハワイのバスはどこまで行っても1ドル50セント】萬晩報をいつも拝見しております。先日ハワイに行きホノルルの市バスに何度か乗ってみました。料金は一律大人$1、子供$0.5で、島の端から端まで乗っても均一とのことでした。オアフ島の北海岸と南側を結ぶ路線は一周4時間だそうです。利用客が多く、私が乗った区間は繁華な地区であったとは思いますが、常に満席でした。便数も多く十分当てになります。ハワイは鉄道がないので、公共交通はバスに頼らざるを得ない面もあるのでしょうが。

私の住むシカゴもニューヨークほどではありませんが、アメリカでは公共交通機関が発達している方です。市バス、地下鉄、エル(高架鉄道)は共通の乗車券(プリペイドカード)で、一律料金の$1.50です。オヘア空港からダウンタウンまで地下鉄で45分ほど掛かりますが、やっぱりそれでも$1.50です。均一料金というのは発券、改札等のコストを省く上で、メリットが大きいのではないかという気がします。万事シンプルなアメリカ式も、時には日本でも検討されてもよいのではないでしょうか。たまに日本に帰ると、近距離移動の電車賃の高さに驚かされます。(藪 直人 シカゴ在住)

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