アメリカでの戦略的PCバンキング1999年04月18日(日)Silicon Vally 八木 博
| |
|
米国では、PCバンキングという、家庭にいながらにして、預金口座から各種支払い、振り込みなどができる方式が広まっています。口座や家計管理をするソフトも多く売れていて、Intuit社のQuickenというソフトは、大ベストセラーになりました。日本でも最近PCバンキングを始める銀行が出て来ています。やり方を比較してみたいと思います。
●米国の銀行は、ただでソフトをくれる PCバンキングに必要なのは、銀行につなぐための番号と、自分の口座にアクセスするパスワードです。そして、手数料は一日3回以内のアクセスであれば、無料です。これは、以前にもご紹介した、ATMの引き出しで、365日24時間いつでも手数料を取らないシステム(預金残高は私の口座のある銀行では3000ドル以上必要ですが)と合わせて考えると顧客側に有利なように見えます。 日本の銀行は、ソフトを購入させ、口座手数料をとる日本で同じことをしようとすると、どうなるか調べてみました。私の口座のある銀行では、PCバンキングを始めようとすると自分で1万円以上もするソフトを購入し、自分の口座のある支店に、PCバンキングの開設許可をもらいます。毎月1000円支払って、PCバンキングが出来ることになります。もちろん電話料金は自己負担です。 米国系の銀行はインターネットで対応する私は、米国系の銀行で最近預金量を伸ばしている銀行がどうやっているかも調べました。ここは、インターネットを利用して、口座管理、支払いが出来ることが分かりました。利用料は、無料です。ここも、手数料無料のためには、口座最低残高がありそれは30万円でした。電話料金はここでも自己負担です。
●なぜ、その差が起きるのだろうか? しかし、最低限の金額が3000ドルとか、30万円と言うのがそのコストをカバーするのでしょうか。あるいは、日本の場合でも預金残高を考えてみると、口座に常時30万円以上ある人は少なくないと思います。何せ、日本の預貯金の総額は数百兆円といわれていますし、預金者の受け取る利息など、本当にわずかなものです。個人を見ればビルゲーツのような個人の大金持も多くありませんので、平均的には日本人の預金額は少なくないでしょう。
●戦略的PCバンキングとは何だ? すなわち、いつでもお客にぴったりとつく、と言うことです。それは、顧客の一人一人を見つめることで初めて成立する内容です。その為に、PCバンキングであろうと、ATM無料化であろうと実行しているのが米国の銀行の動きです。コスト+適正利潤=価格(手数料)と言う構図は、すでに崩れているのです。その中でどのように自分達のビジネスを進めるのか、この日米の対応の差にも大きなポイントが見えているように思いました。(週刊シリコンバレー情報 Vol.052) 本情報につきまして、皆様からのご意見ご感想をお待ちしております。メール |
© 1998-99 HAB Research & Brothers and/or its suppliers. All rights reserved. |