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評判を呼ぶ霞山会の季刊誌「Think Asia」

2011年07月27日(水)
萬晩報主宰 伴 武澄
 財団法人霞山会が昨年から発行している広報誌「Think Asia」が好評らしい。何を隠そう、筆者が編集・執筆に携わっている雑誌でもある。うれしいことだ。発行は年4回の季刊。先週その4号が発行された。巻頭コラムは「中国語になった日本語−明治期に発明された漢語の新用法」。

 明治という新国家を誕生させた日本人たちが富国強兵だけでなく、西洋の政治哲学や科学を貪欲に導入するために新しい漢字熟語を次々と発明させた物語だ。日本で発明された漢語熟語は清国からの留学生によって「中国語」に導入されたことは知られていることだが、困難がなかったわけではない。

 面白かったのは「漢語の新しい用法」という概念だった。「広範性」「安定性」の「性」、「自動化」「都市化」の「化」はそれまでの漢語にはない用法だった。英語を日本語に翻訳するために考えられた用法である。そんな漢語が1000近くもあることを一つひとつ数えた中国人学者もあったという。

 「Think Asia」のタイトルは筆者が関わる財団法人国際平和協会のシンポジウムのタイトルである。日本語では「アジアの意思」と訳している。つまり、「脱亜入欧」「アジア主義」に代わる表現で、再びアジアに求心力を求める運動でもある。

 言い出したのは財団の評議員の一人である大塚寿昭である。もともと、アジアの人々との交流会での議論から「アジアの意思」という概念が生まれた。大塚はIBMのシステムエンジニアだった。IBMでは「一時期「Think」がキーワードになったところからの発想だった。

 霞山会は戦前、上海に東亜同文書院を経営した東亜同文会を引き継ぐ財団。数年前まで虎ノ門交差点に霞山ビルがあったがいまは赤坂に移転した。中国語学校と中国との交流事業を経営の柱にしている。同財団が発行する月刊誌「東亜」は中国研究者の必読書の一冊。編集長は阿部さんといい、若手の中国研究者を育成してきたことでも知られる。

 参考までに筆者がこれまで書いてきたコラムのタイトルを紹介したい。
 第1号「孫文と梅屋庄吉、そして滔天、良政
          −辛亥革命百年にアジアを考えたい」
 第2号「目薬が奇縁となった日中交流史
          −東亜同文書院と内山書店」
 第3号「いつから『中国』が国名となったのか?
          −蔑称としてのチャイナと支那」
 第4号「中国語になった日本語
          −明治期に発明された漢語の新用法」

 ちなみに広報誌「Think Asia」は無料である。バックナンバーもまだあるそうだ。購読希望者は下記まで。
 東京都港区赤坂2-17-47 赤坂霞山ビル TEL.03-5575-6301
 koudoku@kazankai.org

 伴 武澄にメール bantakezumi@yorozubp.com

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