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みのさん、新聞に落書きはやめて

2008年03月28日(金)
萬晩報通信員 成田 好三
 民放TVのワイドショー(今は生活情報番組と呼ぶそうだが)の定番コーナーになっているのが、「新聞読み聞かせ」である。業界でこのコーナーを何と呼んでいるかは知らないが、いまやワイドショーには欠かせない存在になっている。

 新聞各紙の現物か原寸大のコピーをボードにはりつけ、読み聞かせ部分に赤色のアンダーライン(新聞は縦書きだから、右サイドラインか)を引き、指し棒を手にしたアナウンサーが、それぞれ独特の声色(だいたいみんなおんなじか)で、新聞記事を読む。

 子どもは母親から絵本を読んでもらう。大人はTV画面の向こうから、アナウンサーに新聞を読んでもらう。それが、いまの日本では日常となっている。

 民放TVのワイドショーのネタ元の多くは新聞記事である。週刊誌であることも多い。活字メディアのネタを面白おかしく映像化したものが、ワイドショーだと言ったら、言い過ぎだろうか。ネタ元の新聞記事を、もっとあからさまに、あるいは、もっと恥も外聞もなく、素材に使う手法が新聞読み聞かせコーナーだと言ったら、これも言い過ぎだろうか。

 それはともかく、テレビ朝日の「やじ馬新聞」に始まるこのコーナーは、著作権を侵害される立場にある新聞業界が放送中止を求めないのだから、新聞、民報TV業界間には不思議な「互恵」関係が成立しているのだろう。

 筆者も、ワイドショーの新聞読み聞かせコーナーをやめろとは言わない。短時間で新聞各紙の朝刊、夕刊の紙面のさわりが分かるのだから、これほど便利な「ツール」はない。ヤフーなどインターネット・ポータルサイトのニュースコーナーも、ワイドショーの読み聞かせコーナーの発展系と理解することもできる。

 しかしである。どうにも納得できない新聞読み聞かせコーナーがある。TBSの朝のワイドショー「みのもんたの朝ズバッ!」のそれである。

 他局のワイドショーとの決定的な違いは、新聞紙面と記事への「敬意」のあるなしである。他局では、紹介する記事を赤色で縁取ったり、赤線を引いたりしているが、それ以上に紙面をいじることはない。いわば、ネタ元である紙面と記事を丁重に扱っている。

 しかしである。「朝ズバッ!」だけは違う。メーン司会者のみのもんたが、あの香具師的な仕草と口調で紙面を紹介することまでは許せるが、みのは右手に持った太い赤色のサインペンで、ボードにはりつけた紙面に強くアンダーラインや丸印を書き込む。その所作は、乱暴、乱雑としか形容できないものである。まるで、紙面に落書きをするようである。

 新聞も商品である。商品は、最終消費者の手に渡った段階で、ある程度は乱暴、乱雑に扱われることは、覚悟しなければならない。子ども用の商品などは、考えうるあらゆる可能性を想定しなければならない。

 それでも、しかしである。商品を乱暴、乱雑に扱うにも程がある。しかも、TBSとみのは、新聞という商品の最終消費者ではない。新聞を商売の「道具」にしているのである。

 みのが、乱暴、乱雑に引いたラインや丸印のついた記事や見出しは、取材記者や整理記者だけではなく、数多くの新聞社の社員の業務によって成立しているのである。

 みのもんたさん。当代随一の人気司会者であるあなたを、TBSは三顧の礼をもって、朝のワイドショー「朝ズバッ!」のメーンキャスターに迎え入れた。

 朝ズバ!であなたは、まさに王様のごとくにふるまっている。スタジオでただ一人立ち続けるあなたは、小さくて長いテーブルにちょこんと座る多くコメンテイターと、その後ろに並ぶTBSが誇る美人アナウンサーたちを、高い位置から自由自在に操っている。

 新聞紙面や記事も、あなたにとっては、そうした自由自在に操れる道具のひとつに過ぎないのだろう。しかし、あなたはやりすぎですよ。

 ちょっと品は悪いが、あなたに合わせて言います。「モノを粗末に扱う人間にろくなヤツはいない」。これは、日本に昔からある格言です。(2008年3月25日記)

 成田さんにメールは mailto:narinari_yoshi@yahoo.co.jp
 スポーツコラム・オフサイド http://blogs.yahoo.co.jp/columnoffside
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