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今どき家電製品になぜ耐用年数?

2007年12月06日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄
 経産省が「洗濯機、テレビ、エアコン、扇風機、換気扇の家電5品目について、安全に使える目安となる標準使用期間(耐用年数)や注意事項を製品本体に表示するようメーカーに義務付ける方針を固めた。

 このほど成立した改正消費生活用製品安全法(消安法)に制度概要を盛り込み、政省令で5品目を指定する。周知期間を経て2009年春の施行を目指すのだという。

 まずはよけいなお世話だといいたい。

 まず発想が賞味期限の表示を定めた食品安全法と酷似している。期限を定めるのは企業なのに、万一、期限内に事故があった場合は企業の責任を問えるようになる。消費者と安全という誰もが否定できないキーワードをちりばめれば民主党だって反対できない。

 耐用年数は利用に耐える年数で、本来税法上の減価償却の概念である。企業が持っている資産の価値の減価を法律で定めた期間に配分する場合の計算の基礎とするものにすぎない。本来、製品の安全性とはまったく違う概念なのだ。

 どれだけ長く使うかは消費者の心がけ次第なのである。我が家の冷蔵庫は20年“酷使”された後、昨年更新された。修理すればと思ったが年数を考え断念した。ちなみに税法上の耐用年数は4年である。

 日本の乗用車は10年もすると大方、廃棄処分となるが、多くはロシアや途上国で二度目の人生を送っている。まだまだ乗れる自動車を次々と墓場に送っているのが日本の実態なのである。

 三重にいたとき、100年も前のドイツ製の発電機がまだ現役で動いていることにいたく感動した。100年前の技術がハイテク時代でも生きていける証拠でもあった。

 メーカーはすでに自身で保証期間を定めている。期間内に故障した場合、無料で修理したり製品交換をしてくれる。製品保証に加えて“賞味期限”的な耐用年数を上乗せしようというのである。

 たぶん、家電製品が火を噴く事故を防ぐ意味で官僚たちが考えた“新制度”なのだろう。人間が完全でないと同様、機械類も完全であるはずがない。何年も使えば、何十万台のうち1台や2台故障したところで不思議はない。

 昨年3月、「PSEマーク」なしで中古家電が販売できないことが分かり、大騒ぎになった。2001年4月1日に施行された電気用品安全法(PSE法)が元凶だった。1年経って、この法律は改正されることになった。本来は廃止すべき法律である。霞が関の官僚たちは反省することなく、意味の分からない法律をつくり続けているということなのだ。

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