前回は恐る恐る投稿したものの、温かいご声援やありがたいご意見いただきまして本当にありがとうございました。今後も書いていこうという意欲を湧かせていただきました。今回も現地から見た日本について書きたいと思います。
去る8月28日、ウガンダのエンテベ国際空港に降り立ちアフリカ大陸の空気を初めて思いきり吸った。そしてアフリカ大陸への第一歩をしっかりと意識しながら踏みしめ、空港を出た。
駐車場には多くの日本車があった。首都カンパラまでのタクシー(こちらではスペシャルタクシーと言う。タクシーと言うとワゴン車の相乗りバスタクシーのようなものを指す。)も、もちろん日本車であった。ガラスにヒビが入っていたりと所々にボロが出ているが立派に走り続けていた。
どうやら日本の中古車は中東、主にはドバイなどを経てここへも届くらしい。「30年30万キロ」と言われる日本車神話の通り、日本ではなかなか見ないような古い型の乗用車やワゴン車が走っている。「さすが日本の車だ」と日本人として自国の車を誇らしく思った。
車は首都カンパラまでのエンテベロードをひた走る。すると、首都が近づくにつれてだんだんと空気が汚くなってくる。そして首都に到着すると、そこにはおびただしい数の日本車が真っ黒なばい煙を撒き散らしながら走っているではないか。率直に、恥ずかしいと思った。日本車が後部から「日本の恥」というものを撒き散らして走っているように思われた。
首都のカンパラだけではない。北部のこのモヨにおいても、聞くところによるとウガンダ中の95%以上の車は日本車なのだという。UNHCRやNGOなどもほぼ日本車を使用している。
筆者の所属するNGOでもTOYOTAのランドクルーザー4台がもう30万キロに達しようとするなか、時々故障しながらも走り続けている。電車もないバスも少ないこのような地域では車が無いと何も活動が出来ないばかりか、急変した患者を公立病院に搬送することさえ困難にする。まさに生命線なのだ。道は舗装されておらず、雨季では毎日降る雨で道路が大変なことになる。普通の乗用車では確実に走行できないような大きな穴やぬかるみがそこかしこにあるのだ。
そのような環境の中で生活をして2カ月になるが、この日本車を見ていてふと「企業の責任」という問題を考えてみた。所謂、CSRと呼ばれているものである。
トヨタのハイエースが、いすゞの大型トラックが真っ黒なばい煙を撒き散らして走っている。いくら中古車とはいえ、日本の企業が責任を持って売ったものであり、高く売れるからと日本語広告などが消されていない日本の自動車がこのような姿ではどこか情けない。
世界に誇る日本の自動車企業であるから自己の製品に対して誇りと責任を持ち続けていることであろう。ならば、最後自動車が走れなくなるまで我が子のように面倒を見てあげることが企業としての責任ではないだろうか。おそらく筆者が考えるようなことなのでそんなことは周知の事実なのだと思うが。
そこで考えた。企業は国と連携してでもよいから、今行なわれている技術協力や人材交流というものをより活発にすべくJICAなどにもっと積極的に働きかけるべきではないだろうか。もちろん現在そういった事業が行われていることは知っている。だが、それが現状に追いついていないように思われるのだ。
確かに企業というものは利潤を追求しなければ存在しないものであり、現実にCSRと共存するのは非常に困難であろう。しかし、その地道な作業が将来的なビジョンで見ればとてつもなく大きな利潤、貨幣価値だけでは計れないイメージや日本という国の持つイメージ向上さえも得ることができるのではないか。
さらにはそこから派生して多くの諸問題も改善、解決できるかもしれない。現地警察を含めた交通事故や違反の改善、道路整備による経済発展など枚挙にいとまがない。そこは先進国が辿って来た道であるので長所も短所も日本は知っている。それらの経験全てを持って企業や国が行えることはアフリカには多いのではないだろうか。歴史的に汚点のないアフリカに対してならなおさらのことである。
日本の車は丈夫で安全でアフターケアも完璧だ、さすが日本人だ、日本人を見習おう。善いことをして名声を得ることは悪いことではない。
追記 もちろんこれは自動車に限ったことではなく全ての企業についても言えるものだ。世界に出ていなくても自国内での活躍が世界に紹介される機会はいくらでもある。企業だけではなくて自治体レベルや個人レベルでも同様なことが言えるのかもしれない。
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ナイル川のほとりの伴 http://blogs.yahoo.co.jp/umi_0625
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