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業者の製造年月日は“出荷日時”

2007年10月23日(水)
萬晩報主宰 伴 武澄

 「白い恋人」の賞味期限日“改ざん”から、食品衛生法とJAS法の「賞味期限」を調べてきた。12年前、農水省を担当していたときに、日本は長年使用してきた加工食品の表示方法を「製造年月日」から「賞味期限」に変更した経緯がある。

 当時、日米間の経済摩擦の中でアメリカ側が要求していたもので、コメ市場の開放に遅れること7カ月で施行となった。当時、いろいろな議論があった。おもしろかったのはパン屋さんの問題提起だった。

「朝パンを買うお客さんはどうしてもその日につくられたパンだと信じている。だから午前零時を期してパンの包装に製造年月日を刻字するんです。これ は従業員に大きな負担になります。賞味期限なら数日後の日時が刻字されるのでたとえ製造日が店頭に並ぶ日でなくても不満はでにくいし売りやすい」

 なるほど、業界にとって製造年月日というのは“包装した出荷日時”と同じ意味なのだと合点した。パン屋さんにとって賞味期限の導入は歓迎すべきも のだったのである。牛乳はまさか早朝に搾乳した牛乳が朝、店頭に並ぶとはだれも信じていないが、業界としては「何日まで“安全”です」の方が売りやすい。

 赤福でも同じことが行われていた。

 東京や筆者が住む神奈川県で、「北海道牛乳」と命名された牛乳が多く売られている。裏には神奈川県内の業者名が印刷されてあり、北海道で搾乳され た牛乳が神奈川県の業者によってパックされたことが分かる。消費者は「北海道なら」というイメージで北海道牛乳を手にするのだろうが、はたして正しいのだ ろうか。

 問題は、搾乳された牛乳が北海道から届くまで何日かかるかということである。たぶん短くて2日間。そうなると鮮度という意味合いにおいては、神奈川県で搾乳された牛乳と比べて大きなハンデがある。

 かつて雪印乳業が売れ残りの牛乳を新たに売り出す商品に混ぜて売っていたことが問題となった。多くの消費者は雪印=北海道というイメージを抱いて いたのではないかと思う。発祥地は北海道だが、大企業となったいまでは、東京の会社であり、全国に工場をもつオペレーションとなっている。

 雪印は興味ある「毎日骨太」という“牛乳”を売っている。「毎日骨太」は簡単に言えば、搾乳した牛乳をいったんバターと脱脂粉乳に分離、再び加工して商品化して いるのである。北海道と本州との距離感を生めるため、こんな商品が生まれるのだろうが、ここまでくるとはたして「牛乳」といってよいのか分からなくなる。

 だから雪印は「毎日骨太」を「乳飲料」と表示しているのである。



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