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『日本ただいま脳死状態されど望みは捨てず』を読んで
2007年09月27日(木)
Nakano Associates 中野 有
外交・安全保障に関する古典を読み漁っている。傑作は、中江兆民の「三酔人経綸問答」、岡倉天心の「東洋の理想」である。百年以上前に描かれたこの二冊は、現在にも明確なビジョンを提示している。
この二冊の良書に匹敵する現在のヘビー級の外交・安全保障の良書と巡り合った。著者は、東祥三先生である。東先生は、国連を通じ途上国の開発や難民問題の現場の経験を数年積まれ、90年より連続4期衆議院議員をなされた。その間、外務省の政務次官、副大臣の立場から日本の外交を実践された。
現在、東先生は素浪人として毎朝、東京の江東区で街頭演説を行っている。国を憂う素浪人の東先生の新刊、「日本、ただいま脳死状態、されど望みは捨てず」は、例えば明治維新の志士が21世紀の日本の針路を問い、語っている良書である。
この良書は、過去を博く学び、現実を冷徹に分析し、近い将来起こるであろうシナリオを描き、そして世界の中の日本の進むべき道を篤く示している。
本書で描かれている以下の名言は、深く考察するに値する。外交・安全保障の必読書である。
民主化した中国と、日米同盟が、やがて太平洋共同体へと溶け合いだし、変貌している日が、遠い将来に必ず来るだろう。
日米同盟は、日本の国益を実現しているだけではない。実は、中国も含めて、アジア・太平洋地域の国の全てが、日米同盟から利益を得ている。日米同盟がしっかりしていれば、中国を静かにエンゲイジ(関与)出来る。
まずアメリカを引き込んで中国を抑えるのが、日本の戦略の真骨頂である。
最近、中国を「責任あるステイクホルダー」にしろとアメリカの高官が言った。アメリカがこう言い出すときは、大抵、金儲けが絡んでいる。
靖国神社の参拝は、終戦記念日に訪れるのではなく、正月に参拝すべきである。
議論がないことが問題なのだ。
核を論ぜずして自立はない。
http://mews.halfmoon.jp/nakano/
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