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米外交三人の文殊の知恵
2007年06月27日(水)
Nakano Associates シンクタンカー 中野 有
6月24日付けの「ワシントンポスト」のデビッド・イグナティス氏のコラムは実に興味深い。
外交政策の権威者であるキッシンジャー氏、ブレジンスキー氏、そしてスコークロフト氏の3人の見解が偶然にも一致している。彼らの共通するメッセージは、「急激に変貌する世界情勢において、米国のパワーを謙虚に捉え、各国との対話を積極的に推進すべき」とのことである。
これらは外交の基本であるにも拘らず、ブッシュ政権は過去6年間、正反対のことを行なってきた。3人の外交の権威者の主張は、米国のイメージを向上させるために対話を進めるのみならず、地球規模で変化する国際的なルールや機会を学ぶ必要にある。
ニクソン政権とフォード政権の国務長官キッシンジャー氏は、「過去数百年間、我々が経験しなかった勢いで国際システムが変化している。かつては、米国は解決策のある問題と取り組んできたが、今や長い時間をかけて調整する時代にさしかかっている」と述べている。
カーター政権の大統領補佐官のブレジンスキー氏は、「国際政治の覚醒が発生しており、世界はより不安定な状態で渦巻いている。我々がかつて対処してきた問題と異なる新しくかつ変化する激しい政情と取り組むのは容易でない」と伝えている。
フォード政権と先のブッシュ政権の大統領補佐官を務めたスコークロフト氏は、「全く異なる世界において、力の行使という伝統的な手段は通用せず、国境を越えた新たなる行為者と如何に取り組むかにある」との意見である。
3人ともワシントンの国際戦略問題研究所の相談役であるが、イラク問題については、それぞれ異なるスタンスを持っている。
ブレジンスキー氏は、最初から一貫してイラク戦争に批判的である。スコークロフト氏は、イラク侵攻に反対し、ネオコンに批判的であるが、ブッシュ家と親密である。キッシンジャー氏は、イラク戦争を支持し、ブッシュ大統領とライス国務長官に定期的にアドバイスを提供している。
イラン問題に関し、キッシンジャー氏は、今後どの方向に向かうかの交渉をイランのトップレベルと静かに行なう必要があると述べ、ロシア問題に関し、ブレジンスキー氏は、現行の意見の相違を誇張して劇的に表現すべきでないと述べ、中国問題に関しては、スコークロフト氏は、中国の安定は不可欠だと主張している。
次期大統領へのメッセージに関しては、「米国は世界の問題を解決するための部分的な役割を演じ、世界の声に耳を傾けるのみならず、潜在的な敵国との対話を推進することが肝要である」との認識で共通している。
3人の老賢人の文殊の知恵を生かすことにより、不確かな激動するグローバル社会を乗り切ることができるだろう。
http://mews.halfmoon.jp/nakano/
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