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【トビリシに来たニーナ19】引っ越し

2006年05月19日(金)
ギターボーカリスト 兵頭ニーナ
 10月にいさととリューバ母さんが3ヶ月ぶりに日本から帰ってくる。

 同じ頃フランスから娘とフィアンセも来るということでヴィカのアパートに私もマンジュも居場所がなくなった。ホームステイしか考えていなかった私はちょっと予定が狂った。まあそれぞれにアパートを探そうと思っていたら言葉もまだ不自由なマンジュが「お互いの部屋があればルームメイトでいっしょに住もう。そしたら淋しくもないし」と言ってきた。意外な申し出にびっくりしたが、この辺は結構物騒な事件も多いし身の安全にもその方がずっといい、それに誰かがいれば確かに淋しくないしと同意し早速部屋探しを開始。

 いくつか物件を見たが何だか気に入らない。ある日タムリコの紹介で不動産やのザミーラがやってきてポリアシヴィリ通りをマルシュートカで6〜7分、降りてから急な坂道を5〜6分ほど登った団地の一階の部屋を見せてくれた。

 入ってすぐ左に一部屋、続いてキッチンそれから広いリビングルームその隣にもう一部屋と希望どおりの配置で何よりまるでホテルみたいにきれいだ。

 大家のマリーナはお医者さん。アメリカに住んでいる娘さん家族の部屋だそうでかなり内装や家具にお金をかけている。しかも殆ど新しい。これ以上はないだろうと即決、3日後に2ヶ月分前払いで500ドルを渡したら目の前でマリーナが紹介料としてザミーラに1ケ月分渡していた。とてもオープンだ。

 契約書,領収書など一切ないので心配になってザミーラに聞いたが「ここでは普通よ、大丈夫問題ないから」というだけ、まあ信用する他ないね。

 9月末の翌日、エムザリのタクシーでトランク3つ、ボストンバッグひとつ、ギターを積んで越してきた。鍵とのりのきいたシーツ、ピロケース、フトンカバーのセットを二組渡してくれたマリーナにふと「テレビは無いんですか?」と聞いたら「ダア、ダア」と翌日にはテレビを買ってきたので驚いた。

 しかも半年分のケーブルテレビ料金も払い済みといたれりつくせり。見られるチャンネルは50以上あった。

 住まいの環境は一変した。ポリアシヴィリでは24時間、車の騒音と排気ガスの匂いに悩まされていたが、ここでの夜は怖いほど静かだった。

 急斜面に8棟ランダムに建てられた10階建て団地のすぐ後ろは山に続いている。空気はおいしく感じられるし街より温度は2〜3度低いだろう。

 私の部屋の前には50坪ほどの小さな公園がありうっそうとした木の下のベンチには日中、子供や老人や赤ちゃんを抱いた若いお母さんなど入れ替わり立ち代りやってくる。子供達は本当にみんな食べてしまいたいほど可愛いい。

 夜はタツミンダ山のテレビ塔のキラキラと輝く美しいイルミネーションが窓からよく見える。

 マンジュの部屋の前には赤いポールと白い金網に囲まれたコンクリートの運動場があり土,日曜日になるとフットボールに興じる少年達の元気な声が一日中たえない。トビリシのごく普通の生活の中に溶け込んだ気がする。

 ところで団地のごみ捨て場っていうのがすごいね。各棟の一階もしくは半地下の10畳くらいの空間に何の分別も無しにぼんぼんゴミが捨てられ1週間に1回くらい6トンぐらいのゴミ収集車がやって大〜きなスコップで半日がかりでゴミをトラックに乗せている。能率悪い事この上ない。

 困ったことに上の階からゴミや壊れた家具などをほおり投げてくる人もいる。ときおりゴミを捨てに行って鉄の扉を開けると下の隙間からものすごい勢いで数匹の猫が逃げていく事があり、最初驚いたがこの頃はだいぶ慣れた。

 中がいっぱいでもないのに扉の前にごみを置いていく奴にはほんと怒ってやりたい!ハエはくるし表はどんどんゴミの山になる。団地ばかりでなくゴミはこの国の大きな問題になっているらしい。

 カフェには前より30分ほど早く起きて通うようになり帰りはマルシュートカがない時や一人の時は危険を避けてタクシーを使うようにした。タクシーは料金メーター表等ないからその都度行き先を言って交渉する。私は言葉も解るので大丈夫だけどマンジュが一人の時はいつもぼられてしまう。住まいからカフェまで1分から30分になって色々勉強になることが多かった。

 ニーナにメール mailto:nina2173@v7.com

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