先日お会いした豆腐作りをするギーヴィーと朝10時アパートの前で待ち合わせた。彼の工場で一緒に本格的な豆腐を作ってみるという事であった。実のところ私は全く経験が無くレシピのメモだけが頼りだ。
マルシュートゥカ(乗合マイクロバス)でサブロタロー区マルジャーニで降りた。店にはもうマルハーズがいていつでも始められるよう準備が整い私にもエプロンを貸してくれた。中国製のしっかりした機械を前に日本語とグルジア語のレシピを見ながら豆腐作りが始まったがすぐにつまづいた。
一晩つけてあった豆をミキサーにかけてつぶし・・・まではよかったのだけど目の前のレシピを無視して分量お構いなしに水をいれてしまったので沸騰後、塩化マグネシウムをいれても分離してしまったのだ。
レシピの紙を見せて説明したらえいやっ!とばかりにもう一度火にかけ塩化マグネシウムを足した。でも失敗した。できればめんどうな過程をなるべくはぶいてはやく作りたいようである。
あ〜あ、私はがっかりしてキッチンを出て少し休むことにした。するとしばらくして1回目よりずっとましな固めの木綿豆腐を作ってきてどうだろうか?と聞いてきた。味見をすると自然な甘味がありとてもおいしい。私が作った訳じゃないけどうれしくなった。こし布のきめが粗かったのでレシピ通りにもう少しきめの細かい布で最初と最後に二回こしたらもっと素晴らしい豆腐ができるだろう。
あとは日本の豆腐やさんで見かけたように「水を流しっぱなしにして良くさらす」とよくよく伝えた。すごいすごい!もうすぐトビリシで、できたての豆腐が毎日食べられるかも知れない。油揚げや厚揚げもできたら料理のレパートリーもふえてグルジアの人に食べてもらうことができるだろう。
彼らが豆腐用の機械で豆からチーズを作るきっかけになったのは、グルジア正教会にあった。敬虔な信者はその教えに従うと一年の半分ぐらいは肉魚、チーズを食べないのだそうだ。そこでグルジア特有の塩気の強い硬いチーズ「ブリンザ」を豆から作ると結構需要があるのだ。
「国民のパン」と言っても過言ではないハチャプリ(チーズ入りパン)にこれを使っても言われなければ豆とは気がつかないだろう。「畑の肉」という健康食品だからベジタリアンや減量中の人にもいいと思う。ただし豆チーズは塩気が強いので豆腐のほうがずっと健康的だ。
トウフは日本語でどう書くのかと問われ「とうふ」「豆腐」の2種類を書いたら一生懸命練習して上手に「とうふ」と書いていた。
ギーヴィーは若いときサハリンにいたそうでそこを去る時、北海道のどこかに寄港したと話してくれた。両親の反対が無かったらいまでもサハリンに住んでいただろうとなつかしそうに目を細めた。
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