国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターなどによると、日本の揚水発電は、2019年時点で約40 か所あり、合計27GWの設備容量だから、世界全体の約16.25%となる。発電能力としては、原発30基分、現時点でもすでに世界に冠たる蓄電システムを保有していることになる。問題は原発稼働率が低下している現状としては3%しか利用されていない。再生可能エネルギーの利用について、常に「不安定」であることが語られるが、実にもったいない話である。現在ある揚水発電所をフルに活用すると、脱炭素社会構築に向けて日本は世界をリードできることになる。そんな議論が政府からも経済界からも出てこないのは不思議な話である。

自民党総裁選のテーマの一つとしてエネルギー政策が挙げられているが、河野太郎は、安全性が確認された原発の再稼働は認めたものの、核燃料サイクルの見直しを打ち上げた。これもマスコミはあまり重要視していないようだが、「高速増殖炉もんじゅ」の失敗を得て使用済み核燃料の行き場がすでに失われている状況では当たり前の話なのだが、これまで政府は下北半島の六ヶ所村核燃料サイクルに巨額の税金を投下し続けている。