素晴らしい日本の想い出 M・ガンディナタン

 素晴らしい日本の想い出 元座間陸軍士官学校インド人候補生 M・ガンディナタン
 私は一九四三年にネタジ・スバス・チャンドラ・ボースによって日本で軍事訓練をうけるために選ばれた四十五人の印度人候補生の一人でした。日本での訓練が終れば、インド国民軍(INA)の将校の階級を与えられることになっていました。私どもはシンガポールで若干の教育の後、船で日本に向い、一九四四年の春に日本に到着しました。
 日本では、東京・上北沢の興亜同学院で六カ月間、士官学校入学準備のための教育訓練を受けました。興亜同学院での教育期間中に私どもはしばしば日本各地を訪問、見学して日本人と一緒に生活するための十分な機会を与えられました。
 一九四四年の秋に三十四人の他の候補生と共に座間にある日本の陸軍士官学校に入校し、私どもインド人候補生の専任教官となられた梅田実大尉の指導のもとに教育訓練が開始されました。大尉は自分の国のために死ぬことを恐れないような堅固な軍人に育てるため訓練に非常な骨を折られました。
 日本で生活したのは僅か二年間でありましたが、私どもインド人候補生に対して施された日本人の愛情やご厚情そして親切なもてなしは、私に非常に強い印象を与えてくれました。それで日本は幾度も訪問したくなるような私の第二の故郷だと思われるようになりました。日本の人々はわれわれが行ったところでは何処でも暖かく歓迎して恰も自分の子供や兄弟のように待遇してくれました。私どもが混雑した列車で旅行の際、座って楽にゆきたいような時、座席を私どもに譲ってくださる人々の例など沢山ありました。
 日本中に厳格な食料配給が統制されていた時でさえ、私どもはそのような時代なのに特別食料供給を受けていました。私どもが日本人の友人たちの御宅を訪ねた時、私どもは何時も大切なお客さんのようにもてなされました。到る処で私は、日本の両親たちが、子供たちを幼ない頃からきびしく教育し養育している姿を観て大変強い印象を受けました。
 また他のことはさしおいても日本人が自分の国家の統一団結のためにもつ愛情や日本人が与えられた仕事には何でも最善をつくして努力する決意に私は非常に深い印象を与えられました。
 私は私の指導教官から、彼らが「日本精神」と呼ぶ忍耐の心について学びました。
 われわれは困難な状況に直面する時は何時でも「頑張れ」と何度も何度も繰返し教えられました。私が日本人から受け入れたこの「さむらい(武士道)精神」は私の人生で大変困難な問題に遭った時、それに打ち克つことに役立ちました。そして私の仕事に成功することを助けてくれました。
 私は日本人の教官に教えてもらったことや、愛情と親切なもてなしで接して下さった総ての日本人に対して、私の感謝の気持を誇りをもって心から申上げます。
(一九九五年四月五日記、村田訳)


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