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商品券の代わりに消費税割引券を

1998年11月16日(月)
萬晩報主宰 伴 武澄


あなたは目の読者です。

 商品券の配布の代わりに消費税割引券を国民に配ったらどうかというアイデアを公表しているホームページに出会った。非常にすばらしいアイデアではないか。住宅は無理にしても自動車など高額な耐久財にも消費が広がる可能性が高い。最も景気刺激策は終わった後の反動、つまり後遺症が恐い。萬晩報はいまの日本経済は入院加療が必要な時期で、将来のために絶対安静に入るべきだと考えているのだが、政府がどうしてもしたいというのだったら、おもちゃ業界より基幹産業への波及効果が大きい施策の方がいいに決まっている。筆者に了解を得て萬晩報に転載する。

 ●商品券と消費税
 子供と高齢者に商品券を2万円づつ配ることになったそうである。高齢者に2万円配っても孫におもちゃを買い与えるという人が多いとのこと。

 もともと商品券構想は景気刺激策として出てきたはずである。しかし、これによって恩恵を受けるのはおもちゃ業界ぐらいだけではないだろうか。

 それに数千億円もの税金を使う必要があるのだろうか。

 これがあまりにも効果がなさそうなので、消費税をゼロにするという案も出てきている。せっかく消費税が少しづつ根づいてきているというのに今消費税を一時的にでもゼロにしてしまったらもとの木阿弥である。一時的と言ってもそれで景気が回復しなければ元に戻すのを延期しなければならなくなるだろう。再び消費税を復活させるのに時間がかかって、その間に財政はますます悪化していく。

 商品券を配ったり消費税をゼロにできるのだったら、この際、消費をしたら消費税分を還元する割引券を配るのはどうだろうか。たとえば、以下のように。

  1. 国民全員に消費税割引券を1人あたり2万円(40万円分の買い物が割り引きになる)を配る。割引き券の最小単位は100円。つまり2000円以上の消費をした時に使うものとする。
  2. 店で買い物をして割引券を提出したら、店はその割引券の額を買い物した人にその場で支払う。
  3. 店が消費税を納める時に割引券を提出すればその分の消費税の納付が免除される。
  4. 割引きの期間は1年間とする。

 2万円の消費税割引券を1億2000万人に配って、これがすべて使われた場合は、48兆円の消費になる。これは個人消費の額としてはかなり大きい。

 たとえば夫婦と子供2人の家族では160万円分の消費に対する割引券が渡ることになる。2000円以下の細かな支出を含まずに160万円の消費をすれば、お金をため込む額も少しは減るのではないだろうか。

 家族が多いところでは割引券を使い切れない家庭も出てくるかも知れない。

 その場合は金券ショップに売ることになるだろう。しかし、金券屋にとっては商品券と比べると魅力がなく、その換金割合はかなり低くなるであろう。そのため、商品券よりも本来の目的で使われる割合は多くなるであろう。

 これは一時的な景気刺激策でり、あまり積極的にやってほしくない政策ではあるが、商品券の配布や消費税をなくす案よりはずっと景気に対する効果は大きい。(雨漏り実験室のチャ)

 筆者のホームページは http://member.nifty.ne.jp/shomenif/index.html

 関連ページは1998年10月11日 やがて金券ショップが格付けする平成商品券の価値

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