【読者の声】ドメ官僚と日本人の保身術1998年06月07日(日)萬晩報主宰 伴 武澄
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古いコラムですが、4月14日「 ボーダーレス時代の日本人の"保身術"」、4月13日「「ドメ」が誇りだった日本のエリート官僚たち」に寄せられた貴重なご意見を掲載します。 大学院までいって秘書だとか事務員ってどういうこと? 【英国在住】 最近は、自信喪失気味の日本で、アメリカ=英語礼賛の声が強くなるのを批判するページが出てきています。それにはもっともな理由もあり、私も外国人の崇拝などはお断りですが、日本の現状を考えれば、時々日本非難はやむをえないなとおもってしまいます。 英国人に「たくさんの日本の女の子を教えているんだけど、みんな知的で大学院にまでいって専門を磨いているのに、将来について聞くとみんな会社の秘書とか事務員とかいうんだ。これってどういう事だい?」とよく聞かれるのは私だけでしょうか。 結構はじめからすべてをあきらめているけど、ただ数年外国の空気を味わいたい為に留学する人はたくさんいます。英国人の教官達が「あの子たち、ただ結婚の飾りを取りにきてるだけよ」などと言う陰口を小耳に挟んだこともありますが。彼らを責められるでしょうか? 日本に帰った後、外国で得たものを生かそうとすると、目の前にとてつもない見えない高い壁があるのであれば、みななんとなく楽しく時をすごそうと言う考えをするのを私は責めません。 留学している日本人の友達が、日本に一時帰って日本分野の学問についての質問を、外国人が建てた大学で働いている教授にしたら「外人なんかに教わっているヤツには学問はできん」と強烈ないやみとともに追い出されたそうです(奥さんが謝りにきたそうですがね、外面と肩書きは立派な人)。 もちろん親切な教授達に巡り合った彼女は研究を完成できそうなのですが、こういう手合いは(東大出てなければ学問はできないなどと言う人も)決して少なくない。外国では実名で悪口が出回っている有名な人はたくさんいるようですよ。
よく留学体験を「生意気だ」押しつぶしているようですが、アジア人の学生にも同じ事をやれば、「二級白人(日本人)に馬鹿にされるのであれば白人の国にいく」となるのは当たり前なのではないでしょうか。 必要なのは外国人の制度的認知 【匿名】 日本人がこのような外国人に対して、恐れと嫌悪感を持ち続けている事に関してですが、役人が古い法律をメンテナンスするのを忘れていてそれを今更持ちだした事件よりも、日本人がこれからどうしようかです。 アジアの国々で、ある程度の社会的な地位にいる人間は、母国語のほかに外国語を1つ以上は話せるとのことだけれども、それは日常的に外国人が生活に溶け込んでいるところが大きいと思います。マレーシアで、シンガポールで、中国語 マレー語が不得意な人間がいたとしても現地の人間は驚きもしません。日本で日本語が不得意な見た感じが外国人がいたら、今はそれほどではないとしても奇異の目で見られているでしょう。 もし、ボーダーレス社会を目指して、外国人をもっと社会に大幅に取り入れようとするならば、外国人の法律的地位をどうするかを考えなくてはいけません。今日本では外国人労働者は制度的に認知されていない状態で放置されています。議論はあくまで外国人労働者を受入れるのか受入れないのかでとどまっています。 私は外国人労働者受け入れには反対の立場なのですが、その理由は現地にいればある程度の知識階層の人間に日本で皿洗いをさせるのは発展途上国を途上国のままにとどめておく働きがあると思ったからです。そのため日本の道としては海外への工場移転と技術移転を積極的に進めることが日本のためにも外国のためにもなると思っていました。
そのような考え方とは別に日本にも、必要とされる人材を広く海外からも集め、新しい価値観・論理を導入しようというならば、外国人労働者を特例的なものから、行政的に許可申請を行うものにする必要があると思います。そのような形で、外国人をちゃんとした形で認めようとするならば、いつまでも日本には原則として外国人労働者はいない、などという原則論を持ち上げていないで、就労許可証の発行と管理をきちんとする体制を構築すべき時期に日本はもうきているのではないでしょうか。 グリーンカード取得者と米国籍取得者の温度差 【熟年キャンピングカー】 「ドメ」派は役所ばかりでなく、一般の国民の中にも存在し、国際派と対立する存在になっています。北海道を旅行をして気が付いたのですが、年輩者ばかりでなく、若い人たちも旅行で知り合う人は、海外旅行の経験が少ないことに驚きました。たまに海外旅行の経験があっても1,2度のパック旅行程度で、ほとんどの人は未経験です。一方で海外旅行の良さを知ってしまった人は国内旅行や国内で遊ぶより海外を選ぶようです。 この「ドメ」派に国内の観光インフラの未成熟さを指摘したり、欧米礼賛をすると、かなりの疎外感を味合う結果になります。 昔はこんなことはありませんでした。海外旅行が珍しかった時代やテレビで海外の報道が少なかった頃は、海外の話は興味を持って聞く人が多かったような気がします。 東大生のある座談会で、ある話題に関して、「アメリカのようになってしまう」という否定的な発言があり、それに異議を唱える意見はなく、おおむね参加者が同意しているような雰囲気でした。 大学生や大卒の若い人たちでも男子は意外に海外経験が少ないのにも驚きです。テレビや新聞などで海外の情報は豊富に手にはいるようになり、誰もが知っている気になっているというのが原因でもあります。 しかし、海外旅行の経験があるといっても、それで全てがわかるわけではありません。実際にアメリカで生活をしている人でも、必ずしもアメリカを理解していると限りません。アメリカ在住の日本人で米国籍を取得している人と、そうでなく、グリーンカードで日本国籍の人ではかなり理解度に差があります。 留学生にしても、はじめの半年か1年は、アメリカの社会に対して反発するようです。英語が上手く使えず社会にとけ込めない。身体的コンプレックス、日本とは全く別の文化に違和感を感じる、などが原因のようです。 実際にアメリカで留学生に感想を聞いても、アメリカの良さを認める意見は、必ずしも多くありません。日本の実社会の経験が無く、社会の矛盾にそれほど関心がない、観察力が身に付いていないなどが主な理由であろうと推測しています。間断なく変化するアメリカの社会現象がエキセントリックに感じたり、リーズナブルな選択の結果をいい加減と感じたり、アメリカの社会の本質を理解するのは容易では ありません。 読み書きを重視する英語教育が、書籍や論文によって海外の知識を吸収するという時代の発想が最近、ようやく改善されつつありますが、まだ試行の段階です。せめて英語ぐらいは第二国語くらいの扱いをするべきでしょうが、いつのことになるやら想像さえ出来ません。 欧米でも全ての人が外国語を使えるわけではありません。アメリカでは母国語を喋れないで生活している人の割合は日本よりはるかに多いはずです。 ヨーロッパで列車旅行をしたとき、ファーストクラスに乗っている人たちは、例外なく数カ国語を使えることに気が付きました。一方でエコノミークラスでは旅行中の学生をのぞき、現地の人は全く外国語が喋れませんでした。ヨーロッパでは数カ国語を操る人がファーストクラスに乗れるという、実際的な社会になっているのです。
伴さんの云う外国語を喋れない人が行政や政治、企業の支配しているという日本の社会の特殊性は、正しい知識を持った人たちが有効に活かされないという、人事面における社会効率の低下の現れとも言えるのではないでしょうか。 官僚機構を変えなければ日本は世界の孤児 【中南米在住】 毎回拝読させていただいております。「どめ」という言葉は初めて知りました。官僚機構の問題点ですが、もっとストレートにざくっと指摘していただいた方がいいと思います。なにか、奥歯にものが引っかかったような感じで。 在外のこと、特命全権大使のことが述べられていますが、「お笑い 外務省機密情報 =テリー伊藤」の本が、この辺のことがかなり詳しいです。まだでしたら、ご参考までご一読を勧めます。
大使館のおかげで、どれほど日本の印象が悪くなっているか。出世レースからはずれたら、意地悪しかないのですか。アメリカ、欧州の大使館に赴任できない人たちは、出生はあり得ず、屈折してしまう人が多いそうです。社会党が政権を取ったとき、官僚機構が大幅に変わるかと期待したのに、なにも変わりませんでした。官僚機構を変えなければ、日本はいつまでもこのままで、世界の孤児になるのではないかと思います。日本の将来のために、官僚機構に風穴をあけてください。 トップへ 前のレポート |
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