取引先企業の監査まで求めるアメリカ社会1998年03月22日(日)萬晩報主宰 伴 武澄 | |
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●20万円以上はすべて"公開入札" 「アメリカの監査役と日本のそれとの最大の違いは、監査役がみんな会長直属だということです。監査の結果は会長だけに報告し、ほかのだれにも報告する義務を負いません。もうひとつ違いは、取引先も監査対象となっていることです」 フィリップモリスの日本法人の監査役に話を聞いたことがある。オーストラリアから年に何回かやってきて社内を調査する。アメリカの監査役が会長直属であることは驚きではない。監査報告が社内で歪められるのを防止するためだ。だが、取引先が監査対象というのは理解できなかった。
「どうして、取引先まで対象となるのですか。よく相手がそれを許しますね」 この話は数年前に聞いた。だから状況は変わっているかもしれない。相手企業の監査はアメリカではほぼ常識化しているとも言った。この会社では、20万円以上の物品やサービスを購入する場合、必ず複数の相手に見積書を出させ、価格が高いものを買う時にはそれなりに説得力を持つ理由を添付しなければならないという。"公開入札制度"である。ここまで話を聞いて「ウーン」とうなった。 企業内でここまで透明性が必要か大いに議論があろう。アングロサクソンはこういう手法で、社内倫理の確立を図ってきたのである。いつから導入されているのか聞きそびれた。社員同士でもお互いがチェックできる仕組みをつくっておいて、なにかあった場合に備えているのだ。日本では到底、受け入れられないだろう。
●二日酔いが検出されると即、クビ
「ドラッグまたは酒が検出されると即、クビです」 役員の言葉には実感があった。 10年前なら「アメリカは自分の企業の社員を信用しない、なんとも寂しい社会だ」と思ったに違いない。だがここ数年、相次いで明らかにされた日本の金融機関の不祥事を振り返ると、日本はよっぽどぬるま湯にひたってきたのではないか思えてくる。 |
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