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プラグイン・ハイブリッドという新発想

2006年11月30日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄
 アメリカのカリフォルニア州でGMのEV1が公道から消えてしまった後、環境を重視する住民が注目したのがトヨタのハイブリットカー「プリウス」だった。発進時はモーターで、スピードが出てからはエンジンが回るという省エネ型車はガソリンの消費量が普通のガソリン車の半分以下であることが歓迎され、かつてのEV1同様、プレミアムがつくほどの売れ行きを示している。

 興味深いのはカリフォルニアの一部環境派住民が、このガソリン・モーター共用車を限りなく電気自動車に近づける改良をして公道を走っているということである。

 この方式をプラグイン・ハイブリッドという。プリウスのトランクに収納されているスペアタイヤのスペースに高性能の大容量リチウムイオン電池と充電器をはめ込み、「1ガロンで150マイル走った」などと楽しんでいるのである。トランクルームに家庭の電気系統に差し込むプラグがあることからこの名前が付いた。

 近距離の走行をすべて電池で賄えばZero Emission car(排ガスゼロの車)に限りなく近づくことは不可能なことではない。ごく自然な発想なのかもしれない。すでにいくつかの部品メーカーがカリフォルニアでプリウス用の電池・充電器システムを売り出している。

 いわゆる改造車ではある。日本で改造車といえば暴走族を思い浮かばせるが、車検制度のないアメリカでは改造はそんなに突飛なことではないのだ。

 アメリカという国はすごいということをあらためて知らされた。この電池システムはほぼ100万円だから新車のプリウスは400万円くらいになる。ここ数年ガソリン価格が高騰しているとはいえ、日本よりまだまだ安い。環境を重視する人々がこうした高価格車に惜しげもなくお金をつぎ込むのだ。

 問題はこうした問題提起が日本にまったくないということである。アメリカで数年前から起きている「変化」はほとんど日本に伝えられていない。アメリカ駐在の日本のメディアの怠慢でもあろう。

 とここまで書いていたら夕刊が来て、GMのワゴナー会長がプラグイン・ハイブリッドシステムを開発してSUV「サターン・ビュー」に搭載するというニュースが掲載されていた。GMはいったん“殺して”しまったZero Emission carの開発に再び着手するのだという。

 EV1の開発をそのまま続けていれば、GMはトヨタに背後を脅かされる危機に陥らなかったかもしれない。

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