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日ハムにあやかって蘇生してほしい北海道

2006年10月27日(金)
萬晩報主宰 伴 武澄
 10月26日夜、北海道日本ハムファイターズが日本シリーズを制して日本一になった。巨人ファンばかりと思われていた北海道に本拠地を移して3年である。4万人収容の札幌ドームを常に満員にする力が500万人北海道にあることを証明した。

 日本ハムは大阪の会社である。オーナーの出身地は四国の徳島である。四国の遺伝子を持った企業が大阪で日本有数の食肉会社に成長し、そのプロ野球球団が北海道で日本一になった。

 筆者はもとより東映フライヤーズからの日本ハムファンである。44年ぶりの日本一は嬉しい。若かった張本勲や尾崎行雄が活躍した時代である。町の帽子屋に東映の野球帽は売っていなかったから、母親にフエルト生地でFのマークを切り抜いて貼り付けてもらった。

 監督は水原茂。ダンディーの名で通っていた巨人軍の往年の名選手だった。しかし選手には暴れん坊が多かった。張本や尾崎を生んだ大阪の浪商高校はそもそもが警察も手を焼く不良の巣だった。クラスに東映ファンなどいるはずもないし、テレビはおろかラジオ中継もない。そんな東映がパリーグで優勝してその勢いで阪神を制して日本一になったから、ざまあみろという気分にさせられた。

 それでも東映はメジャーチームになることはなかった。なぜか、一つはあまたあった東京のチームの一つだったからで、もう一つはホームグラウンドの後楽園を巨人と共有していたからだった。

 その後、チームは変遷を経て日本ハムファイターズとなったが、この二つの条件は変わらなかった。その間、東京の球団の一つだったロッテは隣の千葉県に引っ越して“地元ファン”を得ることに成功した。

 20年以上前に高松市営球場が改築されるという話があったとき、日本ハムの高松移転話が浮上した。瀬戸大橋もかかるから岡山からも野球を見に来てくれるかもしれないという期待が膨らんだが、結局30万人都市でプロ野球チームは育たないという結論に達した。惜しいことをした。

 ファイターズの札幌移転の時も、マスコミには悲観論が多かった。札幌には巨人ファンが多かったことと、マイナーなパリーグのチームが新天地に根付くはずがないという話ばかりだった。

 3年たってみるとどうだろう。もちろん新庄効果というものもあったが、ファイターズファンのお目当ては新庄剛志ばかりでない。小笠原ファンもいればダルビッシュも人気だ。稲葉がバッターボックスに立つと札幌ドームは地響きが鳴り響くほどの興奮状態となる。テレビ画面が揺れる現象を初めて見たプロ野球ファンもいるだろう。

 監督を含め日本ハムファイターズの選手は道外人である。その道外人が北海道のファンに支えられて日本一になったのである。北海道にとってファイターズは“外資”なのである。外資であろうとなかろうと結果的に北海道を元気にしてくれるのだからありがたいことである。

 北海道の人口は563万人。その人口の3割が集中する道庁のある札幌は158万人。この規模の国家は世界にあまたある。ヨーロッパでは並みの国家規模である。北海道日本ハムという一プロ野球球団がなしえたことを北海道の道民ができないはずはない。東京依存から脱却して日本一豊かな大地を蘇生してほしい。

 蛇足かもしれない。日本シリーズをテレビで見ていて新庄のグラブがやけに古いなと思っていたら、18歳の時、阪神タイガースに入団した時に買ったものを17年間使い続けたということだ。パフォーマンスばかりが目立つ新庄の一面を見た思いがした。これはいい話である。

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