「全国で沸き立つ100円バス論議の未来」に海外を含めて多くのメールをいただいた。時間内乗り換え自由というニューヨークのメトロカードなどは日本でも参考になると思うし、香港の地下鉄の掲げるだけで改札口を通り抜けられるシステムは日本より何年も先行している。
多くの国では、市内の交通網は自治体が中心となって運営されている。この分野にかぎっては日本はまれにみる民営化王国であるが、せっかくの民営でも自由競争がない。なにかがおかしいのである。
【萬晩報】
ワンコインバスは、米国の小都市部では常識 小野澤雅人 |
ワンコインバスは、米国の小都市部では常識です。東部のヴァーモント州で8年間暮らしましたが、ある都市のバスの
事業の監査委員を務めておりましたが、F・S上は黒字です。(但し、バスは州政府の補助金をもらってます。州内の
都市、村落内の公共交通機関は、1ドル以下のワンコインです。(75セントの地域は、トークン制です。)地域によ
って様々な事情がありますが、多くの場合車両は州政府の補助金がでますが、運行については自主財源です。日本でも
なんで広まらないのか不思議におもってました。特に地下鉄との連絡切符をもうけるなどすれば、もっと乗車率が高ま
るのは明らかですが、行政の壁はあついようですね。
NYはどこまで乗っても1.5ドル Tatsumi Yano |
とっくに誰かがリプライされておられることでしょうが、NYでは数年前から
Metro Card というプリペイド・カードの採用以来、シカゴ同様にバスとも共用で市内はどこまで乗っても$1.50ですが、最初に使用した時から2時間以内は地下鉄->バス、バス->地下鉄の乗り換えは無料。また$4で無制限に1日利用できるカードもあります。
面白いのは、私の長男が通うNYの市立大学の付属高校では、登校用の交通費を市が負担してくれるのですが、彼に支給された
Metro Card は、月曜から金曜までしか使えず、しかも一日3度しか使えないようにプログラムされています。
ロンドンの有名な2階建てバスは1ポンド 齋藤 孝光(TAKAMITSU
SAITO) |
ロンドンの有名な2階建てバスも、市の中心部(といっても相当な広いエリアですが)は一律1ポンド(いまだと155円位)です。バス運行のシステムはいい加減で(いきなり終点になったりする)、バスも汚いけど、利用率は高いと思います。
はじめまして。私は、カナダのトロントに住んでいたのですが、交通費は安かったです。バスと地下鉄とストリートカーが、距離に関係なく、何度乗り継いでも2カナダドルでした。ただし、ある地点からある地点まで、行ったり来たりするようなルートは使えませんが、直線的に乗り継いけば、2ドルです。
たいがいの駅の中にはバス停があって、改札を出ることなく、バスと電車、そしてストリートカーが乗り継げて、とても便利でした。どこに行くにも、それらの乗り物で行けるので、車があったらいいなあと思ったこともありませんでした。
(郊外にドライブに行くことを除けば・・・)日本はなんでも高いと思ってましたが、交通費もかなり高いと思います。先日、旅行に車で行ったとき、高速代が往復で10000円くらいだったのですが、”そういえば、向こうはタダだったんだよなあ” と思い出しました。
外国や日本の一部の安い交通費を知らない人たちは、普通と思って、疑問を抱かないのでしょうが、それはあまり良い事ではないですよね。
でも、自分に何ができるのだろう・・・と考えてしまいました。
台北に駐在している富田と申します。ここ台湾台北のMRTは、開通した当初の淡水線の運賃は台北駅〜淡水間80元でした。1か月25日として往復すると実に4,000元となってしまいます。20才代のサラリーマンの給与は30,000元弱、普通の会社は交通費は支給されないので、自己負担するには相当な金額です。バスで行けば30元です。そのためMRTはしばらくガラガラの状態が続いていました。
その状態を打開すべく台北市が打ち出した政策は、まず運賃の全面値下げ。これにより同区間は50元となりました。またプリペイドカードの額面の20%サービス、そして駅に設置してある機械にバスのプリペイドカードを通すと、30分以内のバスへの乗り継ぎは無料とする措置を採ってから、乗客は爆発的に増えました。前出のケースでは1か月2,000元で済むことになりました。
開通当初の料金設定が誤っていたといえばそれまでですが、バスまで取り込んでの改革努力は評価に値すると思います。
香港の路面電車は、2香港ドル(30円) Fumiyo
Shimada |
はじめまして。香港在住の島田と申します。いつも楽しく拝見させて頂いております。さて、表題の件ですが、香港の交通機関の安さ、便利さは、世界に誇れると思います。路面電車は、2香港ドル(30円)、定期運行のスターフェリーは、1.6香港ドル(24円)。タクシーの初乗り16香港ドル(240円)。
地下鉄とバスの共通のプリペイドカードは、機械にかざすだけで反応するので、鞄から取り出す必要はなく、駅や、コンビニで金額の補充がきくので、日本のテレフォンカードや、定期券みたいに使用後にごみにならない。
バス会社や、空港行の地下鉄などは、利用客の客足が落ちると、「同日使用の空港往復は半額」。10回乗ると、1回分無料。10回乗車+15香港ドルでポケモンのぬいぐるみプレゼント。というキャンペーンを次々と打ち出し、あの手この手の集客作戦をしています。
また、空港線は、乗車時にチケットを購入する必要がなく、降車時にクレジットカードで支払う事もできます。元々、自動車税が100%、駐車場が少なく、あっても高い。バスや乗合バス網が発達していて、山の手線以上に次から次へと来るので、近場に行くにも、ついバスにのってしまうという事情もあります。ただ、難点をいえば、ディーゼル車が多いので、大気汚染がひどいということです。
私は福岡に住んでいます。西鉄の100円バスの試みが始まったのは、福岡市内で競合している市営地下鉄に客を奪われたために、バス部門の売上が落ち、その対策として始まったもの。市営地下鉄は早くて便利だが、なにせ料金が高い。最低200円。そこで、市内都心部の循環に限り100円という西鉄バスの英断は、客を取り返すことに成功した。特に、市外から福岡にショッピングや遊びにくる皆さんに好評。それは循環コースが、福岡のトレンドであるショッピング施設や文化施設をカバーしているためである。さて、ここまでは良い。経済原則から見れば、非常に分かりやすくすっきりしている。ところが現代は複雑である。
100円バスは、ある範囲内に限り100円ということで、いろいろな路線が市内を縦横に走っていて、すべてのバスに適応されているが、特に利用者の多い市内循環について、西鉄は利用者増に対応して本数を増便している。これは、利用者にとっては便利だが、一方で都心の交通渋滞、また環境汚染とまで大げさな言葉は使いたくないが、増便による排気ガスの増加を引き起こしているのである。
ただでさえ、福岡は道路事情が悪く、また交通ルートが多重に確保されていないため、天神という中心部はバスと営業車と産業用大型車と市外からの流入車が一斉に流れ込んでくるという事態になっている。中でも西鉄はその都心部にバスセンターを置いているものだから、市内の路線バスと他県への高速バスの発着と絡まって、十台のバスが幹線をずらりと占拠するシーンは茶飯事なのである。
これがたかだか1キロくらいの中心部に起きている。西鉄バスが10台あまりのバスで都心を占拠する様は、まさに市内のバス事業独占企業の面目躍如といったところか。もともと地下鉄は、都心部の交通緩和を第一義的な目的としていたはずだから、バスの利用者が減り、バスの便数が減るのは当然であって、西鉄はバスの営業路線の拡大ではなく、縮小を前提にしたサービスの充実によって社会的貢献を果たすべきなのに、逆の手を打っている。
西鉄は日本最大のバス事業を展開している私企業であり、また同時に世界一の規模でもある。車両は大型でピカピカ。日本でこんなバスを数千台も走らせているところはない。私がアメリカで10年以上も前に乗った、車椅子でも乗れる昇降式の乗降口を採用したバスは、いまだに、ほとんど見かけることはない。経済原則は、私企業にそのような施策を採ることを促さないのだ。
福岡の町はこれ以上車を増やせない筈だが、100円バスは利用者増を達成し、バスの便数が結果的に増えつつある。経済原則は資本主義の前提だが、必ずしも住民の幸福を意味しない。
先日はアメリカから来た叔母が、この中心部で待ち合わせのために10分間街角に立っていたら、めまいと頭痛に襲われて倒れてしまった。排気ガスのせいである。私もたまにその中心部を通るが、気分が悪くなる。福岡の中心部は狭い。もし、車がそれほど多くなく、人がゆっくり散策できるような歩道のルートがあれば歩いて用が足せるような町である。
銀座だったら、歌舞伎座から並木通りまで歩く人はざらだと思う。今のところそのような都市環境は夢のまた夢。都心は、経済原則によって、住民の決して望まない形へといびつになるばかりである。
まったくそのとおりだと思います。安ければ、さしたる用がなくったって使います。台湾に住んでいますが、台北市内の地下鉄とモノレールは安い。バスはもっと安いのですが、路線が多すぎて、行く先が不安なので、敬遠。地下鉄なら20元(約80円)で、台北市内なら、まずだいじょうぶです。しかも、地下鉄とモノレールは相互乗り入れで、乗り継ぎ可。もちろん、同じ切符です。
つまり、40元(160円)で、大きなデパートは、だいたい巡れます。だから、日曜日は、かなり混んでいる。台北では三越とそごうががんばっていますが、これは、これはまったく地下鉄(とモノレール)のおかげでしょう。東急ハンズも同じ。日曜日は、公営駐車場が無料なのもありがたい。
出不精のわたしでさえ、日曜日はデパート巡りです。台湾の景気の良さは(ちかごろは悪いといっているが、日本にくらべると、かなり活気があります。)あんがい、こういうところにあるのではないか、と思っています。日本の経済規模は500兆円、そのうち個人消費が300兆円(!)だそうですから、その300兆円がすこし動けば、いまの不景気なんか、いっぺんで吹っ飛びます。安い交通機関は、その引き金になると思っています。人が動けば、金も動きます。
昨年出張で、何度か福岡に行きました。交通機関は、常に値上げというものばかりしか見たことが無かっただけに「市内循環100円」には驚かされました。慣れない土地で、よく分からない行き先のバスに戸惑うが、100円なら多少間違っても気にならない。このような試みは、住民だけではなく、外から来たものにとっても喜ばしいことである。今年になって福岡には行ってないが、うまく軌道に乗って継続中というのは、とっても嬉しいです。
福岡県以外の人にはあまり関係ない話のようだが、全ての公共交通機関にも言えることだと思ったので書いてみる。
西鉄と他の会社のバスを比べて感じる違和感は、西鉄のバスは広告がとても少ないことだ。とくに車外の広告はほとんどないといっていい。これと比べ、東京のバスや札幌の路面電車は、ボディ全体を一つの広告にするくらい積極的に広告収入を得ようと努力している。長崎や鹿児島の路面電車も広告満載だし、車内放送ではCMもながれる。最近ではボディをペイントした広告タクシーも走っている。福岡ではGATEWAY2000のあの「牛模様」のタクシーが走っており、とても人目を引いている。
前の記事紹介したように「100円・1000円バス」で積極的な戦略展開をしている西鉄だが、こと広告に関してはまるでダメである。西鉄には積極的に営業してもらいたいし、地元企業も広告を出して欲しい。公共交通機関のスポンサーになることが、企業としてのステータスとされるようになればいいな、と思う。 (て)
TERRAZIとゆかいな仲間たち http://terrazi.hypermart.net/
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