11月17日夜のTVニュースで政局に関し次の2つの重要なポイントが報道された。
20日の野党提出予定の内閣不信任案に、賛成または本会議を欠席した自民党議員は党から除名されるということ。もう一つは森首相、野中幹事長の合意として、もし内閣不信任案が可決成立した場合は解散総選挙をするということである。
筆者はこの報道を聞いて加藤紘一氏の勝ちと判断した。 たとえ不信任案が否決されても加藤氏とその一派は除名の対象となり、自民党の外へ出ざるを得なくなる。その結果、自民党及び与党3党の衆議院における勢力は確実に減ることになる。どのくらいの数に落ち着くかは現時点ではわからないが、与野党拮抗した状況になり与党の国会運営は思うように行かなくなるだろう。
また、首相をそのまま置いておくこともできないと思う。そのまま森首相を居座らせておくことは、最新の世論調査の結果からもさらに世論の反発を招くことになる。従って森氏は首相の座を降りざるを得なくなる。これで加藤氏は目的の一つを達成することになるのである。
森氏を降ろすというのは、主流派の中にも内心そう思っている人たちが少なからず居るようだから、首相交代はまず間違いないことと思う。そして新しい首班に誰が指名を受けるかは予測しがたいが、誰がなっても綱渡りの国会運営が続き、来年6月の参議院選挙へと突入することになるだろう。
加藤派名誉会長の宮沢大蔵大臣は不信任案否決にまわると言明していた。加藤派ではこのほか池田行彦元外務大臣、森田一運輸大臣も否決して自民党に残ると明言している。このように党の長老と呼ばれるような人は概ね残るようであるが、一方で主流派の江藤・亀井派を離脱した渡辺喜美代議士もいる。
このような状況を見ていると、加藤紘一氏は内心除名されるのを待っているのではないかと筆者は推測する。今回の不信任案採決で、国民の大多数が支持しないという森首相を支持する、そう意志表明した議員は誰だったかということが鮮明になる。採決後すぐに首相の首をすげかえても、採決の際に森首相を容認したということは、どっちに転んでも否決にまわった自民党議員は世論に言い訳が難しくなるだろう。次の参議院選挙において自民党の衰退はさらに加速されることになるだろう。
清新な志を持った自民党代議士は主流派の中にも数多く居るはずである。沈み行く泥船のような自民党に残って、古狸のような老害議員、族議員たちと一緒になって沈んで行くのは本来ではないだろうと思う。このまま自民党に残ったとしても、古いものや腐った部分を抱えたままでは真の改革はできまい。
「今この国の危機を考えると、私は名誉ある除名を喜んで受ける」加藤氏はこう思っているのではないだろうか。心ある自民党議員諸兄よ、もう一度よく考えていただきたい。加藤氏が好きか嫌いか、加藤派に与するか否かが問われているのではない、本気でこの国の改革を進める気があるのかどうかを問われているのである。
(このコラムは約100人の自民党、民主党議員に送付されています)
【萬晩報】 退場を求められているのは森首相+4人組 |
森喜朗首相を陥れている自民党の政変劇は、世論の高まりの中で国民的関心事となった。国民が求めているのは森首相の降板だけでない、森内閣を密室内でつくり、森政権を操ってきた自民党の野中、青木、村上、そして亀井という4人組の退場をも求めているはずだ。
森首相は4人組の単なる操り人形であることは初めから分かっていたこと。森首相のパーフォーマンスが稚拙すぎたのはいうまでもないことであるが、4人組のこの1週間の言動はあまりにも身勝手だった。加藤紘一氏が野党の内閣不信任案に欠席すると言い始めたころ「森首相を支える」といっていたのが、形勢が悪くなると「首相早期退陣論」を持ち出し、今度は「内閣不信任案が可決なら解散」などと首相の専任事項であるはずの「解散」にまで踏み込んだ。
まさに言いたい放題、やりたい放題である。ここまでくると逆に森首相が哀れに思えてならない。(伴 武澄)
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