よろず6.25総選挙の読者の声
2000年06月11日 
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       よろず総選挙読者の声(2)

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国債の金利と国民負担
Wed, 7 Jun 2000 Terai, Yasushi <mailto:y.terai@worldnet.att.net>
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 「80年代のレーガン政権は大胆な減税でその後の景気回復の礎を築いたが、おかげで
アメリカは長い間、高金利に悩まされ、30年物国債の金利が10%を超える時代もあった。
アメリカの当時の高金利はドル高政策の一環としても必要だったが、国民は長期間にわた
り莫大な国債の漬けを金利負担で背負わされたのだ」

とありますが、高金利の負の面を教えてください。高金利の受益者も国民なんだから別に
金利が高くたって良いのでは、と思うのですが。(在Duesseldorf)

【萬晩報】高金利による国民の最大負担は金利払いが膨らみ国民へのサービスに予算
が回らなくなることでしょう。(伴 武澄)

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「麻薬的な財政・金融政策をもたらした連立政権(1)」について
Thu, 8 Jun 2000 上野俊一 mailto:ueno@ucatv.ne.jp 会社員 男(47)
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 確かに現連立政権の行ってきた財政・金融政策は問題があることは事実だと思います
が、ではどうすればよかったのでしょうか?

 現在の日本において財政・金融政策を批判する事は非常に簡単ですが、具体的な打開
策(しかも現実的に可能な策)を提言する事の方が先ではないのですか。

 今度の選挙に対する考え方もどの政党が何をするのかを基準に投票を行うべきで、かつ
て私が大好きだった社会党(現在社民党)のように、社会主義国が崩壊し、連合政権に参
加している間だけは平気な顔で「日米安保合憲」を主張し、政権を離脱すると「憲法守りま
しょう」と平気な顔でいえるような人が代表でいる政党には残念ながら投票は出来ないと
思います。

 土井さん昔言ってたこと「まちがいでした」と国民に謝ってください。

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財政政策と金融政策について
Wed, 7 Jun 2000 hirofumi ide <mailto:hirofumiide@beeb.net>
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経済学部に所属している学生です。現在一年間の留学中でして、外国にいながら選挙の
行方を気にしてます。
 

今回の総選挙で争点となるべきなのは「財政再建路線への復帰」と「ゼロ金利の早期解除」
である。前者は「金利上昇を伴う興奮剤」で後者は「その金利上昇を押さえつける鎮静剤」で
ある。

とありますが、これは金融政策と財政政策との混同のように思えるのですが、いかがでしょう
か。僕の意見では、この二つの政策は同時に進行すべきだと思います。

確かに、双方が密接に関わってるのはわかります。ですが、財政政策に日銀の金融政策が
絡むのも限界があるのではないでしょうか。法律的には、日銀の独立は保証されてますし。
また、このままゼロ金利政策を続けることは、バブルの再発を招き、日銀もまた、バブル期の
失敗を考慮してこのような政策をとっていると思います。

またインフレについてもですが、円安からのインフレであれば、輸出が増え、内需不足に悩ん
でいる日本経済にとっては好都合な気もします(多少の混乱はありますが)。また、かなり極
端な考え方だとは思いますが、ここまで拡大化した国債を返還するには、インフレによる実質
的国債の目減りしか方法が残されてないような気もします。

日本の世論を引っ張っていく新聞社の方の意見を頂戴したいです。
拙い日本語で申し訳ないです。

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「景気対策」は最も愚劣な政策
Wed, 7 Jun 2000 青木秀和 mailto:aoki.hidekazu@nifty.ne.jp 公務員 男(44)
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青木秀和(グリーン・ポリシー・インテレクチュアル)
河宮信郎(中京大学経済学部教授)

 6月5日号で伴氏は、次のように指摘された。
「年来のゼロ金利政策は景気対策による国債増発によって長期金利が上昇したのを防ぐ
ためにスタートした。うがった見方をすれば、国が銀行救済のためにお金を貸して、そのお
金で国の借金を肩代わりさせている。しかも国が銀行に貸したお金は預金保険機構が債
券を発行して銀行から調達したのだから、なにがなんだか分からない。」

「もともと銀行の金だが、いったん国のフィルターを通すと格付けが上がるとでもいうのだろ
うか。公的資金の資金の循環は、融資した金で資本を増強したという東京相和銀行とどこ
か手法が似ていやしないだろうか。」

 われわれもかねてから同じ考えに達していた。国が金融機関への「資本注入」のために
用意した資金は赤字国債によって調達された。われわれはこれを基本的に財投資金から
借り入れたと考えている(確証はない)。この場合、郵貯や年金資金が民間金融機関が
抱える不良債権の国家財政による処理に使われたことになり、もちろん肯定できることで
はない。しかし一応財投から金融機関への実質的な資金移動があるという意味で金融的
には成立する。ところが、この穴埋め資金を資本注入を受けた民間金融機関自らが拠出
しているとしたら俄然はなしは違ってくる。

 この場合の金の流れを整理するとこうなる。金融機関は国が発行する国債を購入する。
その金は国に入り、国は直ちにそれで金融機関の優先株や劣後債を買い入れる。その買
い入れ資金は金融機関に渡り、「自己資本」に繰り入られる。結果として国は優先株など
の「金融資産」を持ち、金融機関は自己資本を充実したうえにさらに国債という一番「安全
・確実な」金融資産を持つことになる。これでめでたしと考えるならば、それこそ「お目出度
い」。

 何故なら、
(1)金融機関が「内部留保」で国債を引き受けられるのならば、その金で真っ先に自己の抱
える不良債権を償却すべきである。それが金融市場で「自己責任」(risk taking)−自分の
融資から発生した不良債権(risk)を引き受ける(takeする)−を果たすということである。
 そうではなくて
(2)もし預金者の預金を国債の購入資金に充てる(預金を国債で「運用」する)としたら、これ
は国家犯罪的色彩を帯びてくることになる。

 というのは、第2の場合預金を直接自己資本に組み入れて、国債と優先株・劣後債とを
交換しても同じ結果となるからだ。何のことはない。資金は金融機関内部で移動している
に過ぎない。これは金融機関による国家財政を経由した個人資産の国民経済規模での
「横領」ないしは国民経済的「粉飾」ということになるのではないか。

 つまり善良な預金者(国民)が郵貯や金融機関を信じて預けた何10兆円、何100兆円
という金が、国とその関係機関、地方自治体、土建・金融複合体といった「お上」の中だけ
でぐるぐる回っていて、その間に国と自治体が抱える債務が645兆円(これに国の特別会
計と自治体を除く財投機関の債務残高約220兆円を加えると865兆円にもなる)にも膨ら
んでしまったのである。この構造を放置しておいたら、郵貯や簡保そして市中預金ですら取
立不能になるであろう。

 そしてこの構造の内部で金が湯水のごとく使われたら、いくら個人金融資産が1300兆
円もあったとしても、あっという間に枯渇するに違いない。

〈国債発行増大における自己矛盾〉
 国の抱える債務は国債債務だけで約327兆円ある。このうち2000年度に約80兆円を
借り換えなければならない。ここ数年国債借換は60兆円程度であったから20兆円増で
ある。しかも借換の「切り札」である郵貯資金が使えない。

いわゆる「郵貯2000年問題」を抱える資金運用部は動くに動けない。というのは10年前
に高金利で預けた定額貯金が満期を迎え有利な運用先を求めて郵貯から大量流失する
ことが予想されているからである。さらにこれに新規国債32兆6000億円が加わる。
結果、112兆円以上の国債引受を市中金融機関に要請するしかなくなる。そうなると国債
引受分だけ民間部門に回るはず金が国債購入に回され(クラウド・アウト)、長期金利に影
響を与えずにおかない。金利が1%上昇すると国債利払費は約3兆3000億円増大し、そ
れだけで2000年度税収見込み48.7兆円の6.7%が吹き飛ぶ。

 それと同時に金融機関がこの10年間に引き受けてきた自己保有分の低利国債が不良
資産化する恐れがある。何故なら金融機関が資金繰りに窮して国債を売却しようとした場
合(その場合、通常は表面(クーポン)利率が低いものから売りに出す)に市場金利と表面
利率の差額は元本から埋めるしかないからである。例えば市場金利3%のときに、2%の
表面利率1兆円の国債を売ろうとすれば、1%の金利差当たる100億円を元本から出さな
ければ売れない。その減価分だけ既発の所有国債は不良資産になることになる。(なお、
持ち続けていても時価主義会計ではキャピタル・ロス(評価損)が発生する)

 つまり国は《国債発行をしなければ既存の財政規模を維持できず、発行すれば利払費
の急騰を招く》というジレンマに陥り、金融機関は《新規の国債を引き受けることで所有国
債の減価を覚悟しなければならない》というジレンマに悩むことになる。

 それにしてもここ10年間、歴代の政権が最優先課題として掲げた「景気対策」が全然
効かなかったことは数字が如実に示している。90年代における国と地方を合わせた長期
債務残高の増加額は年間30兆円台から50兆円台へと加速的に増大し、気づいた時に
は90年度末の266兆円から99年度末の608兆円と、なんと342兆円も増えていた。
ところがこの間にGDPはたった57兆円しか増えなかった。13%の「経済成長」を達成す
るために230%の「債務成長」が必要だったのである。これほどものの見事に失敗した
経済政策もなかろう。

 にもかかわらず政権を担当する連立政府は相も変わらず旧態依然とした「景気対策」を
声高に叫び、有権者の半数以上も「景気対策」に期待を寄せている。どうかしているので
はないか。

 復金融資に始まる戦後経済復興から現在に至るまで、わが国経済の特徴を一言でい
えば「借金をテコにした経済」ということなろう。この経済ではまず金融が資金を供給する
ことで経済規模を膨らめ、実体経済が遅れてそれにキャッチアップし、そこで生まれた余
剰資金を再投資に回しさらに経済規模が拡大するという形態をとる。この循環がプラス方
向に一方的に拡大したため(朝鮮・ベトナムという「特需」にも助けられたという側面を忘れ
てはならないが)人類史上希にみる「高度経済成長」を遂げることができたのである。

 逆にこの経済体制の下では経済成長はその存続ための絶対条件である。ところがこの
経済を無限に続けることはできない。というのは実体経済は「市場飽和」という壁に突き
当たらずにはいられないからである。そこに至って金融経済と実体経済は乖離を起こし、
金融機関に名目上溜まった金は行き場を失って「投資」ではなく「投機」資金と化す。それ
が土地や株式という資産価格を高騰させることになり、行き着く先が「バブル」である。
つまり「有効」な投資先を失ったが故に金融機関はバブルに活路を見出さざるを得ず、
その結果「無効」な投機を繰り返したあげく「不良債権」というリスクを背負い込むことなっ
たのである。そしてその投機失敗をなんとしても塗り固めようと「景気対策」名目で動員さ
れたのが巨大な赤字財政支出だったのである。

〈資金運用すること自体がリスクである〉
 それがいまや財政崩壊を起こす寸前まで膨張してしまっている。
 もし国民がこの状態を放置できないとするなら、まずは余剰資金の「運用」などできない
ことを自覚すべきである。1300兆円の個人金融資産に1%の利息を付けるだけ、13兆
円が必要になる。金が金を生むことなどあり得ない。金を増やす実体があってはじめて金
を増やすことができる。実質的な経済成長がなければならない。13兆円はGDPの2.6
%にあたる。この経済成長があってやっと利払いができるのである。一時的には可能か
も知れない。しかし毎年2.6%の経済が続けば27年後には倍になる。少子高齢化のピ
ーク時の2027年に実質経済が現在の倍になるということは不可能である。

 真の経済構造改革とは、資金「運用」しなくても済む経済体制を確立することである。そ
のためには、年金や健康保険、介護保険など社会保障制度、生産から消費そして廃棄
に至るまでの物資流通過程、それらを裏で支える金融制度といった社会的共通システム
の制度設計を根本からやり直す必要がある。現在の政治家の資質からみて、こうしたこ
とが政治の中心課題となることは期待薄であろう。がしかし、少なくとも役に立たない「景
気対策」にしがみつくことで、経済はさらに悪化し、近い将来取りかえしのつかない事態
を招くことになることくらい、冷静な有権者なら判断できるはずである。

青木秀和 mailto:aoki.hidekazu@nifty.ne.jp
河宮信郎 mailto:kawamiya@mecl.chukyo-u.ac.jp
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